入会前の学力チェック事項で大切なものって?

11月 13th, 2021

 秋も終わりが近づき、朝や夜間の冷え込みが厳しくなってきましたね。毎年この時期になると、次年度講座の会員募集が始まります。新4年部(現3年生対象)への入会にあたっては、「3年生 冬期集中講座」に参加いただければ、お子さんの現段階の学力状況がおおよそ判断できるでしょう(本日HPにて告知予定です。案内チラシの折り込みは14日です)。 

 なお、この講座については学費をいただかず、教材費とテスト代のみの格安な費用で参加いただけます。最終日のテストで一定の成績をあげたお子さんには、4年部前期講座の入会資格を進呈します。家庭学習研究社という学習塾を知るよいチャンスですから、ぜひご利用ください。また、「今のところ、入会するかどうかはわからない」というかたも、お子さんの学びを活性化させるよい経験になると思いますので、気楽な気持ちで参加してみてください。

 今回は、新年度講座の会員募集開始前の時期でもあり、「受験勉強開始にあたり、重要な学力要素が身についているかどうか」をチェックするための目安になる事柄を話題に取り上げました。それは何かというと、「読み書き能力」と「計算力」です。「何だ、それならうちの子はだいじょうぶ」「それぐらいのことはマスターしている」と思われるかもしれませんね。

 しかしながら、近年はそういった「基礎の基礎」が意外と抜け落ちているお子さんが増えており、受験勉強をうまくやりこなせないケースが多々見られます。早めに難しい勉強をするよりも、基本的なことを疎かにしないことが、受験を乗り越えるうえで重要なことなのだとご理解ください。今からお伝えすることは現3年生を念頭に置いていますが、もう少し上の学年のお子さんにもかなり当てはまりますので、参考にしていただければ幸いです。

 たとえば「読み」の力ですが、お子さんが本をたくさん読んでいるというだけでは「読みの力がある」と判断することはできません。外見は同じように読書を楽しんでいるかのように見える子どもたちですが、その内実には相当な違いがあります。

 挿絵などを頼りに、話の展開や終結にばかり気を奪われるような読みかたをしているお子さんがおられます。こういうお子さんは、あっという間に本を読み終えますが、話のプロセスにある様々な面白い点や重要な箇所はスルーしがちです。それでは読書がもたらせてくれる豊かな精神世界にしっかりと足を踏み入れることはできませんし、様々な新規の語彙・知識を身につけることもできないことでしょう。読みの力の増強という観点からも、成果の薄い読書だと言わざるを得ません。

 以前、同時通訳者として、また作家として活躍された女性(故人)の体験談をご紹介したことがありますが、ある国では図書館で借りた本を返すとき、カウンターにいる司書が必ず「読んだ本に何が書かれていましたか?」と子どもに確認するそうです。また国語の授業で音読を要請された子どもは、読み終えたときに必ず先生から「何が書かれていたか、簡単に内容を説明しなさい」と言われるそうです。こういったことが日常的にあると、読みの際の真剣さや集中力が違ってきます。感想文を書くのを嫌がる子どもがたくさんいますが、それは読む力が足りていないという現実的側面もあるのではないかと思います。精読して著述内容を理解する姿勢をまずは培うべきでしょう。

 おたくのお子さんの読みの現状はどうでしょうか。上述のような、飛ばし読みに近い読みかたをしておられませんか? これでは文章に書かれている大切な要素(作者が伝えたいこと、表現したいこと)に気づけませんし、活字の流れから抽出すべき情報がアバウトもしくはいい加減になりがちです。国語のテストでは、作者が伝えたいこと(主題)や人物の心情(人物のしぐさや表情、情景描写などから推察できる)、細部の仕掛け、表現の工夫や面白さに関わる部分が主に出題されます。そういった問題に弱いお子さんは、普段の読書に問題があることが多いようです。無論、読書は楽しむべきものですが、しっかり読めると、その楽しさはより深いものになりますから、読みの能力獲得の前提となるスキルをしっかり磨くとともに、著述内容を丁寧に読み進めていく姿勢を身につけてほしいですね。

 ところで、読み(黙読)の土台を築くために欠かせない習練は音読だということを、これまでしばしばお伝えしてきました。まずは、おたくのお子さんの状態をチェックしてみましょう。本や教科書の1ページをひととおり音読させてみたら、読みの現状がわかります。誤読や躓きがなく、すらすら読めるようなら黙読力も備わっていると思って差し支えありません。それができないお子さんは、文字の連なりから言語を抽出する力、言語と言語の接続関係を判断する力が足りません。読みに時間がかかるうえ、書かれている内容の理解も不十分ですから、どの教科の学習においても苦労が予想されます。そういうお子さんの多くは「本が嫌い」と言います。それはうまく読めないので読書が苦痛だからです。

 もう一つ。お子さんが読み終えたら、「何が書かれていた?」と尋ねてみてください。その返答にがっかりされるかたもあるかもしれませんが、ちゃんと読めない現実がわかっただけでも収穫です。まだ巻き返す時間はたっぷりとあります。まずは音読の習練をし、そこから安定した正確な読みの力をつけていきましょう。そうすれば本を快適に読めるようになるし、著述内容もよく理解できるようになるでしょう。繰り返しますが、音読がスムーズにできてこそ黙読力も身につくということを忘れないでください。

 つぎは「計算力」についてチェックしてみましょう。低学年での基礎計算力として重要なのは掛算九九や筆算などです。これらが不十分なのに「ちゃんとできる」と、お子さんも保護者も思い込んでおられるケースがあります。

 九九は、「いんいちがいち、いんにがに」といったように順に上がっていく「上がり九九」と、「くくはちじゅういち、くはしちじゅうに」と下がっていく「下がり九九」、「ろくはよんじゅうに、さんぱにじゅうし、ごくよんじゅうご」などとランダムに問われて対応できる「途中九九」とがあります。すべて縦横無尽に答えられないと役立ちません。また、筆算の際の位取りがスムーズにできないようだと、後々の算数の発展について行けなくなります。これらの状態をチェックしてみてください。

 算数において、もう一つ押さえておきたい大事なことがあります。計算の操作ができたとしても、数の意味がわかっていなければ計算力が身についているとは言えません。式を自分で考えなければならない学習場面で躓いてしまうからです。たとえば、2~3行の簡単な文章題を例にあげてみましょう(3年生の課題です)。

 計算式が提示された問題なら造作なくできても、このような問題が出されると、たちまち立ち往生するお子さんがいます。足し算なのか引き算なのかが判断できず、式が立てられないのです。これは計算の意味が理解できていないことに起因します。「足し算か、引き算か」のヒントがなければ答えられないお子さんは、真の計算力を備えているとは言えません。

 ある調査で、5年生に5分の4m×3mという数式を用いた文章題をつくらせたところ、正解者は2割ほどしかいなかったそうです。これも計算の意味がわかっていないことが原因でしょう。驚くような誤答の例として、「5分の4mのつくえと、1mのいすを3つ買いました。ぜんぶで何mですか」などがあったとか。これは、掛け算と足し算の違いが理解できていないからでしょう。また、辺の掛算が意味すること(長方形の面積を求める)にも気づいていません。計算の意味を理解することがいかに大切かがわかりますね。

 以上のように、計算力には意味理解と操作の習熟という両面があります。両者は互いに連動しながら習得すべきものです。算数の基礎として欠かせない計算ですが、習熟的側面ばかりに目が向くと、ほんものの計算力は身につきません。少数と分数の計算は、高学年に進級した子どもたちが突き当たる算数の壁としてよく知られていますが、これらも低学年期にほんものの計算力を身につけていれば問題なく乗り越えることができます。今のうちに真の計算力を身につけておきましょう。

 弊社では、4年部から受験対策としての算数・国語指導を開始します。そこでの勉強の土台となるのが読み書きの力(書く力については、この記事では省略しました)や計算力です。これらは知識や技能の獲得、学習の発展を支えるエンジンのようなものですから、疎かにすると勉強が成り立たなくなります。

 「3年生 冬期集中講座」は、考えること、知ることの楽しさを味わう機会を提供することを意図するとともに、上述のような基礎の基礎がしっかり身についているかどうかをチェックする役割も果たします。その意味においても、ぜひ参加していただきたいですね。

 確かな基礎が、学習の発展を支える!

Posted in アドバイス, 入塾について, 勉強について, 勉強の仕方, 家庭での教育, 家庭学習研究社の特徴, 小学1~3年生向け, 音読・読み聞かせ

おすすめの記事