子どもの将来を決める、勉強への向き合いかた

12月 14th, 2021

 12月も半ばを迎え、冬休みが近づいてきました。弊社では、毎年冬休みに低学年(1~3年生)児童対象の「冬期集中講座」を開催しています。いずれも開講日は12月25日(土)で、年内に全日程を終了する短期間の講座です。お申し込みになればどなたも参加できますので、まだお迷いのかたもぜひお気軽に参加してみていただきたいですね。

 3年生については、各校とも複数のクラスを設けておりますので、どの校舎も今からお申し込みいただくことが可能です。1・2年生は定員を少なめに設定しており、すでに定員に達している校舎もあります。申し込み状況をご確認のうえ、手続きをしていただきますようお願いいたします。

 さて、冒頭で低学年児童対象の冬期講座をご案内したように、今回はお子さんの中学受験を視野に入れておられる低学年児童の保護者に向けた記事をお届けしようと思います。みなさんは、現在のお子さんの勉強の取り組みや学力状態をどう評価しておられるでしょうか。11月13日に掲載した記事(「入会前の学力チェック事項で大切なものって?」)において、「読み書き能力」と「計算力」の基礎がしっかり身についているかどうかが、先々の学力伸長に大きな影響を及ぼすことをお伝えしました。今回はそれに加え、勉強に対する向き合いかたの重要性についてお伝えしようと思います。

 一般にテストで同じ成績をあげているお子さんは、学力的に変わらないとみなされます。つまりテスト結果は、現在の学力を判定するための基準となります。私学などの入学試験ではテストの結果でほぼ合否が判定されますから、「とにかく、子どもの得点力をあげよう」と大人は考え、多少無理をさせても得点力アップを重視した受験勉強を子どもにさせることもあるでしょう。

 しかし、学びの主体である子どもが勉強をどのようなものとして受け止め、どう向き合っているかということにも目を向ける必要があるのではないでしょうか。実はそちらのほうが、先々の伸びしろ、人生の歩みに大きな影響を及ぼすからです。受験で高得点をあげることは、進路としての学校選びに直結しますから、得点力は高いほうがよいに決まっています。しかし、児童期の学びの体験が子どもの内面形成にどう関与するかにも思いを致す必要があるでしょう。

 そもそも学んで得た知識やスキルは、テストでの成績獲得のためではなく、将来何らかの仕事を得て働くときに役立てられるべきものです。直接仕事に役立つことのない知識であっても、それを獲得するプロセスで経験した事柄が取り組みや行動のありかたに水面下で少なからぬ影響を及ぼします。たとえば、「この仕事は大変だけれども、色々と工夫を凝らせばできないことはない」、「この問題点さえ解決すれば、製品の実用化は可能だからがんばろう!」――このように、知恵を絞り努力を継続していくことを貫く姿勢は、過去の学びの経験を通して身についたものです。

 「中学受験生の頃は楽しかった」と語ってくれる卒業生によく出会います。受験勉強は決して楽なものではありません。何が楽しかったのでしょう。おそらく、試行錯誤の末に問題が解けたときの喜び、努力が成績に表れたときの達成感、仲間との切磋琢磨が与えてくれた充実感、入試が終わるまで応援を続けてくれた家族への感謝の気持ち…これらのすべてが「楽しかった」という表現に集約されているのだと思います。それは入試に受かった人に限りません。実際、筆者は「入試で全部落ちました」という人からも耳にしたことが何度もあります。

 これらのことは、人間形成期の学びの体験がどうあるべきかを暗示しているのではないでしょうか。大人にやらされる勉強ではなく、勉強のよさを実感しながら取り組む自律的な学びを通して受験での合格をめざす。このような体験こそ、真の成長と前向きな人生の歩みにつながるのです。

 児童期は、人としての生きかたや、学びに向き合う姿勢を確立していく時期にあたります。それは、毎日の生活や学習の繰り返しを通して形成されます。低~中学年の時期は、周囲の大人の関わりかた次第で子どもはどのようにも変わりますので、毎日の生活や学習に関わる保護者にとって、「今のうちにわが子を望ましい方向に」という意識をもつことが大切であろうと思います。そこで、現在おたくのお子さんの学びの状態な望ましいものになっているかどうかをチェックしてみましょう。お子さんは、次のうちどれに当てはまりますか?当てはまるものすべてに○をつけてみてください。
※グラフ画像をクリックすると拡大表示されます

 どうでしょうか。〇が7つ以上あるなら、知識を得ることや学ぶことに対する前向きで健全な姿勢が根づいていると言えます。ぜひ、これからも今の姿勢を失わないでいただきたいですね。実際のところ、△が多いお子さんがかなりおられるのではないかと思います。それを、「中途半端な状態」というネガティブな受け止めかたでなく、「もう一押しの状態だ」と受け止めるべきでしょう。親の配慮やサポートしだいで、今からずいぶんよくなる可能性が高いのですから。もう一息、わが子が前向きにがんばれるような後押しの方法はありませんか? なかには、×が多くてがっかりされたかたもおありかもしれません。叱って勉強させたり、ほめるべきタイミングを生かさずに接したりしていると、子どものモチベーションはしぼみがちです。まだ何事も親しだいの年齢ですから、お子さんに前向きな姿勢が足りないとしたら、親の接しかたをまずは振り返る必要があるかもしれませんね。

 基本は、少しでも子どもの行動に前向きな姿勢が見られたときに大いにほめる、大いに親が喜んでいることを示すことだと思います。結果よりも、努力の姿勢を重んじる親の対応によって、子どもは「何事においても、努力が大切だ」ということを学べるでしょう。その積み重ね、繰り返しが、やがて子どもの学びかた・生きかたを決定づけるのだと思います。結果が全てではないということを教えられた子どもは、大人になってからぶつかる困難にへこたれることなく立ち向かっていけるに相違ありません。上記チェックリストは、3年生までのお子さんを念頭に置いてリストアップしましたが、4~5年生になっても〇の多さが変わらないお子さんなら、先々も学びを通して成長していく流れは変わりなく続いていくことでしょう。

 筆者は家庭学習研究社に35年以上在籍していますが、受験を元気いっぱいに乗り切り、中学進学後も順調に学力を伸ばしている子どものほとんどは、楽しそうに塾に通い、はつらつとした表情で学んでいました。受験勉強ですから、楽しいばかりではありません。不得意単元、不得意科目があったり、壁に突き当たったり、成績不振に陥ったりすることもあります。ですが、それでも勉強を投げ出すことなく熱心な学びを維持し、めざす受験目標を見事にクリアしている子どもがたくさんいます。できるなら、全てのお子さんにそういう受験を体験していただきたいですね。

 1~3年生の「冬期集中講座」に参加されるご家庭におかれては、お子さんがどのような気持ちで塾の勉強に取り組むかを見守ってあげてください。たとえば、「今日、どんなことを勉強したのかな?」「おもしろいと思ったことは?」などと、問いかけてみてください。うまく説明できなくても、楽しく学んでいる様子が感じられたなら、大いに喜んであげてください。この体験を起点にして、学びに熱心な姿勢が育つよう、これからの生活を整えていけば、お子さんはきっとよい方向に成長されると思います。

 なお、今回の記事は2019年8月26日に掲載した、「学びに向き合う“姿勢”と“気持ち”を大切に!」というタイトルの記事の続編です。そのときには、学びに対する能動的な姿勢、「勉強は自分にとって重要なものだ」という認識が、脳の発達にいかに貢献してくれるかという視点から書きました。こちらの記事も併せて読んでくださるとうれしいです。

この冬休みを起点に、学びに対する前向きな姿勢を築きましょう!

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