2022中学入試が間もなく終わります
1月 28th, 2022
今年の広島県内の中学入試は、新型コロナウィルス感染拡大の第6波のさなかで行われています。幸いなことに、明日予定されている県立広島中の適性検査、明後日の附属東雲中の入学試験、およびまだ残っている一部の私学の入学試験が無事に実施されると、ほぼすべての中学校の入学者選抜が終了します。いっときは、「入試はどうなるのか」と心配しましたが、とにもかくにも無事に各中学校の入試が行われています。
どの中学校の入試関係者の方々も、「何とか入試を無事に終わらせなければ」と苦慮し、様々な対策を講じられたことでしょう。それぞれの中学校で小さなアクシデントはあったかもしれませんが、いずれの中学校におかれても、これまで予定どおり入試を終えておられます。学校の先生がた、関係者のみなさまのご苦労は想像に難くありません。心より「お疲れさまでした」と申し上げたいと存じます。
振り返るまでもなく、今年の受験生は前代未聞の状況下で入試を経験することになりました。新型コロナウィルスの感染問題が解消されないなかでの入試は覚悟していたものの、新種のオミクロン株による感染者がものすごい勢いで増加し、「このままだと、入試ができなくなる中学校も出てくるのではないか」という危惧の念をいだきました。「わが子がこの大事なときに感染などしませんように」と願いつつ、どのご家庭の保護者も無事に入試を終えるまで気遣いや対策に追われながらの毎日を過ごされたことでしょう。インフルエンザが流行したり、強い寒波のために雪に見舞われたりして、入試に影響が出たことは過去幾度となくありましたが、今年ほど過酷な条件下で行われた入試はなかったと思います。どのご家庭におかれても、今やっと張り詰めた緊張から解放されたことであろうと拝察いたします。無論、感染の危険性は少しも緩和されていません。一息つく余裕もなく、お子さんやご自身の感染回避に向けて気を引き締めておられることでしょう。
ともあれ、すでにほとんどの中学校で合格者の発表も終了しています。弊社会員の合格状況ですが、今のところ例年と大きくは変わりません。ただし、多くの中学校で補欠者が発表されており、その中学校を本命にしているご家庭におかれては、繰り上がりを心待ちにしておられると思います。弊社では、これらの受験生の合否をおおよそ確認したうえで今年度入試の合格状況を公表する予定です(HPにて)。今しばらくお待ちいただきますようお願いいたします。
長かった受験までの道のりでしたが、とうとう終点にたどり着きました。少しでも多くの受験生がよい結果を得ておられることをお祈りするばかりです。ですが、周知のとおり入学試験は入学希望者のなかから入学者を選別するために行われるもので、夢がかなわなかった受験生家庭も少なくないことでしょう。指導にあたった者は、担当クラスの受験生の入試結果が発表されるたびに合否を確認していますが、首尾よく実力を発揮して志望校への合格を得た受験生もいるいっぽう、「このお子さんは大丈夫」と思っていた受験生が思いもしない結果を突きつけられるケースも目の当たりにします。そのたびに落胆の気持ちや合格に導けなかった無念の思いに駆られます。
ですから、毎年の学習塾としての合格実績がよくても悪くても、一喜一憂することはありません。つぎにお預かりする受験生がもっとよい結果を得られるよう、より効果ある学習指導の実践に向けて気を引き締め、新年度の受験生の学習指導に臨んでまいります。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
さて、この後は筆者から受験生のご家庭に向けた提案をさせていただこうと思います。
中学受験は、各ご家庭のお子さんがよりよい教育環境を得るためにするもので、相当な期間の準備が求められます。受験生のお子さんは、決して楽ではない勉強を相当な期間継続する必要がありますし、友達と遊ぶことや好きなスポーツに熱中することを断念されたケースも少なくないでしょう。また、保護者におかれても、お子さんの学習の状態を見てサポートをしたり、機を見ては声をかけたりされたるなど、いろいろとご苦労があっただろうと思います。なかには、見たいテレビ番組を控え、静かな環境でわが子が勉強できるよう配慮されたおとうさんもおありでしょう。
つまり、受験生のお子さんも、見守り応援されるご家族も、お互いに多くの我慢をして親子共通の夢の実現のためにがんばって来られました。筆者は、中学受験はその意味において家族全体の大きなイベントなのだと思っています。このイベントの大きな意義は入試結果ではありません。お子さんは親の愛情と期待を背に奮闘する体験を通して、自分という存在に対する手応えとともに、親のありがたさを身に沁みて感じておられるでしょう。親はわが子が本気になって受験勉強の取り組む日々を見守ることで、わが子の成長ぶりを目の当たりにすることができたと思います。そこに最大の意義があり、各ご家庭の記念すべきイベントとしての価値があるのだと思っています。
もうじき、お子さんは思春期を迎えます。このとき、大概の家庭は揺らぎます。お子さんはことあるごとに親に反発し、親はわが子の豹変ぶりにたじろぎ、どうしてよいか途方に暮れることになります。ですが、中学受験を無事に乗り越えたご家庭は心配要りません。受験までの助走を通して、親子の強い信頼関係を築いてこられたのですから。このあと、親がわが子に助言する機会はぐっと減ると思います。というよりも、親の声にわが子は耳を傾けてくれなくなるのが普通です。ですが、根底に強い信頼の気持ちがあれば、難しい思春期の危機を無事に乗り越えることができます。
そうしたことも含め、入試が終了した今、互いの気持ちを確かめ合ってはいかがでしょうか。おとうさんやおかあさんにおかれては、お子さんにつぎのような言葉かけをしてみたらどうかと思います。
★ 受験生活で、成長できたと思うことは何かな?
★ もっとこうすればよかったと思うことはあるかな?
★ おとうさんやおかあさんに、今言いたいことはないかな?
そして、お子さんの今の気持ちを聞いたら、つぎはおとうさんおかあさんから今お子さんにかけてあげたい言葉を伝えてあげていただきたいですね。何でも構いません。何か成長したなと感心しておられることはありませんか? 目先の楽しさを追いかけたい年齢期に、自分の行動をコントロールする経験をしたことも意味のあることです。実際のところ、もっとがんばってほしかったと思っておられる保護者もおられるかもしれませんが、勉強を投げ出すことなく入試を迎えたことだって大きな成長です。また、自分に足りなかったのは何かを考え、今後に生かそうという気持ちを感じたなら、それも大いなる成長です。そうしたことを含め、今親としてわが子に伝えてやりたい気持ちを言葉にしてみてはいかがでしょうか。
少し照れ臭い保護者もおられるかもしれませんが、中学入試という大きなイベントの締めくくりをし、親子共々次のステップへと進んでいただきたいですね。ともあれ、受験までの長い日々、様々なプロセスを経て、とうとう入試への挑戦が終了しました。ほんとうにお疲れさまでした。