受験対策の仕上げ期に求められる親のサポート

8月 20th, 2022

 夏休みも残り少なくなりました。6年生の子どもたちに残された受験対策の期間はおよそ5か月です。現在「夏期集中特訓」が行われていますが、おたくのお子さんは来るべき入試を見据え、気合の入った取り組みをしておられるでしょうか。今回は、主として入試を間近に控えておられる6年生家庭に向けた記事を書いてみようと思います。

 前述のように、現在弊社では夏期集中特訓を実施していますが、この短期講座が終了するとすぐさま後期講座へと移行します(8月27日開講)。この6年生の後期講座こそ、子どもたちが本気を出して勉強に打ち込む受験生らしい日々が実現する時期です。というのも、児童期までの子どもは、人生経験が浅いために先を見据えた勉強がなかなかできません(特に男子は無自覚で楽観的に見えるものです)。どんなに大人が言って聞かせたところで、経験のないことを想像するのは難しいものです。おそらく、これまで地団太を踏む思いをしてこられた保護者も少なくないことでしょう。

 ですが、今やほとんどの中学校の入試日程が発表され、入試に関する情報がいろいろと耳に入るようになり、塾の授業も入試を見据えた実戦的なものになりつつあります。ご家庭でも、どの中学校を受験するかを親子で話し合っておられると思います。この段階に至ると、さすがにのんびり構えていたかに見えたお子さんも、入試が近づきつつあることを肌で感じるようになり、目つきも真剣さを帯びてくるものです。

 「これまで全然がんばっていませんでした。今頃、やっと重い腰を上げても手遅れではありませんか?」と、ネガティブな見方をしている保護者はおられませんか? しかしながら、ほとんどの子どもの現実は前述したとおりです。親が満足するような勉強をしてきたお子さんなんて殆どいないのではないでしょうか。そもそも、肉体的にも精神的にも12歳前後の小学生が全身全霊を傾けた勉強ができる期間はせいぜい2~3ヶ月だと言われています。自己を燃焼させるほどの取り組みは、ラストスパートを迎える秋から実現すればよいのです。実際のところ、弊社のカリキュラムはそういった子どもの成長の流れを踏まえています。4年生の1年間は算数と国語の2教科の足固め。5年部開始から6年部の4月末までは入試4教科の基礎力育成を視野に入れた指導を行ってきました。たくさんのことを覚え込んだり、難易度の高い学習を多量に課したりしていません。したがって、フレームとなる内容を丁寧に学習してきましたから、基礎はある程度身につけています(この基礎学力は、中学進学後も大いに効力を発揮します)。お子さんが学んで得た成果を信じてあげてください。

 そもそも、過ぎ去った‟とき”は巻き戻せません。そのいっぽう、入試までに残された‟とき”はどの受験生にも平等に与えられています。今から入試までの期間の勉強を充実させましょう! 保護者におかれては、「これから本番までの期間に、いかにしてベストを尽くせるかで入試の結果も決まるのだ」と、お子さんを励ましていただくようお願いいたします。そして、悔いの残らぬ受験生活の実現に向けて応援をしてあげてください。

 ところで、お子さんの現在の学力状態をどのようにとらえておられるでしょうか。「中学受験夏期講習」では、入試必須の基礎内容をひととおり学びました。その際に実施したテストの結果を、お子さんと一緒に点検しておられますか? お子さんが自分に足りないものは何かを自覚しているか、それともただ漫然とテスト成績を見ているだけかで、今後の受験対策の充実度は全く違ったものになります。また親は親でわが子のテスト結果を見てがっかりし、「もっとがんばれ!」と激励したり、「なんでこんな成績しか上げられないのか!」と叱ったりしただけで終わってはいませんか? これでは、テスト結果から得られる貴重な情報を見過ごしてしまいます。

 そこで保護者の方々にお願いしたいのは、テスト成績を親子で丁寧に分析し、仕上げ学習に生かしていただくことです。そのことが、仕上げ期の学習の進捗を決定づけることになります。もはや無駄な時間をいたずらに費やす時間はありません。これから実施されるテストの全てについて、結果が返却されたら必ず親子で教科ごとの仕上がり状況を確認してください。このことは、指導現場にいる先生もお子さんにお伝えしていると思いますが、保護者が一緒に学力状況の分析に協力してくだされば、それだけ有効な仕上げ学習ができると思います。以下の文章は、全国トップレベルの私学の校長を務めておられた先生(故人)の著書の一部をご紹介したものです(何年か前も本ブログでご紹介しました)。テスト結果をどうとらえるべきかについて参考にしていただけると思います。


 ある人は、その点数を子どものランクづけだと受け止めるでしょう。またある人は、子どもの能力の一部分の評価にすぎないと受け止めるかもしれません。しかし、ここで注意してほしいのは、形に表われた成績を「結果」として受けとめてはならないということです。つまり、最終的判断ではありません。あくまで成長段階における、子どもの位置を示しているにすぎないということです。

 子どもが悪い成績をとってきた時、ガミガミと叱りつける親がいます。しかし、子どもはすでに自分の悪い成績を知っています。それに追い打ちをかけるように叱りつけては、叱咤激励のつもりでも、かえって子どもが反抗する原因にもなりかねないのです。そんなふうに叱る親に限って、成績を「結果」としか受け止めていません。

 「成績」はあくまでもその時の子どもの位置を示すもの、と考えを改めてみれば、子どもの学力の足りない部分、資質が見えてきます。力を入れるべき点も整理がつきます。つまり成績とは、親と子に与えられた反省材料であり、これからどうすればいいかを考えるための資料でしかないということです。

 逆説的な言い方をすれば、満足ないい成績をとる子どもよりも、課目によって凹凸のある子のほうが、その子の姿はよく見えるのです。いい成績の陰に、子どもの真の姿が隠れてしまっている例も、私は数多く見てきました。親が結果だけを重視するために、子どもの人間としての能力を、成績だけで判断しようとしてしまっているからです。

 親は、わが子は他人と比較して優れている、劣っている、と嘆いたり喜んだりするよりも、成績に込められた内面を読み取ることが大切なのです。


 どうでしょう。上記のような視点に立ってお子さんのテスト結果を見たなら、感情的になって叱ることもなくなるでしょう。子どもにとって、親が冷静かつ愛情深く自分を見守り応援してくれることほど安心で心強いことはありません。親がこのような姿勢なら、一緒に対策を練ることもできるし、勉強に集中して取り組むこともできるでしょう。

 これから入試本番まで、あと何回か模擬試験がありますが、その結果を上手に生かしながら仕上げの学習をしていただきたいですね。入試に向けた準備学習の最終段階を迎える今からの時期の親子関係は、子育ての仕上げと深く関わってきます。わが子が入試の結果を恐れることなく、自分のできる精一杯をやり尽せるよう応援してください。そうすれば、自ずと結果はついてきますし、お子さんはどの中学校に進学しても心配の要らない人間に成長されるに相違ありません。

 

今から入試までの数カ月は、親にとっては子育ての仕上げという意味でも重要な時期です。悔いなき日々を!

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