この秋、学習成果のあがる‟生活の型”を築きましょう!
8月 29th, 2022
夏休みが終わり、先日(8月27日土曜日)はすぐさま後期の講座が開講となりました。今はまだ夏の終盤で蒸し暑い毎日が続いていますが、もうじき秋らしい心地よい天候の日々が訪れます。秋は、何をするにも好適な、人間の活動を活性化してくれる季節です。この時期を大いに生かしたいですね。
そこで今回は、「学習成果のあがる‟生活の型”を身につけるための提案をしてみようと思います。家庭学習研究社の教室に通っているお子さんは、学習計画に基づいて毎日の勉強に取り組んでいると思います。お子さんがその計画通りに勉強し、成果をあげておられるなら、今回の記事は必要ないかもしれません。参考程度の気持ちでお読みください。ただし、「なかなか思い通りに勉強がはかどらない」「勉強しても成果につながっていない」と思っておられたら、その原因をよく考えてみる必要がありますし、今回の記事も多少はお役に立つかもしれません。
みなさんは、「勉強をするうえでよい条件はどういうものか」と聞かれたら、どんなことが思い浮かびますか? 静かな落ち着いた雰囲気である、机の上が整理整頓されている、暑くも寒くもない気温など、いろいろあると思います。次にあげる条件はどうでしょうか。なかには、少し意外に思われるものもあるかもしれません。
① 勉強は少し空腹を感じているときのほうがはかどります。これは脳の働きの原理に沿った理由からで、危険を察知した状態のほうが脳のセンサーが鋭敏になるからです。逆におなかが一杯のときは、消化のために胃に血液が回っているために脳の働きが悪くなり、勉強がはかどりません。どなたも経験がおありでしょうが、学校の給食が終わった後、午後最初の授業は眠気が襲ってくるし頭がぼんやりするし、先生の話が全然耳に入らなくなりがちですね。家庭勉強に関わる時間帯だと、夕食後は勉強に不向きです。勉強の効率が高まるのは、夕食前や朝食前の時間です。
② 脳の栄養源はブドウ糖です。これ以外は脳の栄養になりません。ブドウ糖は食事で摂取した糖類が分解されたもので、肝臓を経て脳に供給されます。ブドウ糖は脳の中でつくることができませんし貯蔵しておくこともできません。1回の食事で12時間分しかつくれないので、規則正しい食事をすることが重要です。特に朝食を抜くと、夕食を採ってから12時間以上経過し、脳のエネルギー源が不足したころに学校の授業を受けることになります。朝食は必ずとりましょう。なお、糖類をとれるなら何でもよいと考えず、きちんとした食事を通して糖類を摂取しましょう。簡単な代用品ばかりとっていると、脳の満腹中枢が機能不全に陥り、過食症や拒食症などの摂食障害を起こす恐れがあります。
③ 実は、勉強に最もふさわしい時間帯は朝ごはんの前です。夕食から時間が経過しているので空腹状態になっていますし、睡眠をとった後は前日の勉強や体験で得た記憶が整理整頓されて、スッキリした状態になっているからです。「朝飯前」という言葉がありますが、これは「目覚めてから朝ごはんを取るまでのわずかな時間でもできること」といった意味です。ですが、脳のコンディションから見ても、朝ごはんの前は最も勉強に適していると言えるでしょう。なお、夜遅くに食事をしたり睡眠時間が足りなかったりしたときの翌朝は、その限りではありません。脳が働くための条件が整っていないからです。睡眠を話題にしたので、睡眠と学業成績との関連についてお伝えしておきましょう。
これを見ると、脳は睡眠時間が極端に少ないとパフォーマンスを著しく落とすことがわかります。また、睡眠時間は長すぎても脳の活動によくないことがわかりますね。上記調査は小5が対象ですが、睡眠時間は7時間~10時間が脳の働きにはよいようです。8~9時間の睡眠を。
④ 誰でもおもしろくないことがあると脳のパフォーマンスは低下します。逆に、楽しいことがあった後はやる気に満ち集中力も高まります。小学生ならなおさらのことでしょう。親に依存して生活している小学生の場合、親子関係の状態はとくに勉強の取り組みに影響します。親と喧嘩したり、親に厳しく叱られたりした後は勉強がはかどりません。中学受験の準備学習は多くの場合夜の時間を使いますが、前述のように夕食直後は勉強に向かないので、親子団らんの時間などを設けてはいかがでしょうか。子どもは親との楽しい会話を通じて親の期待を感じ取ります。そうして、一呼吸置いたところで勉強に向かえば、やる気も高まることでしょう。
以上のことを踏まえ、各ご家庭で生活サイクルに合わせて、お子さんが最も勉強に打ち込める‟生活の型”を考えてみてください。いちばん頭の冴える起床から朝食までの時間帯に重要な勉強をするのもよい方法だと思います。あまり夜更かしをせず、十分な睡眠をとることも忘れないようお願いします。成果のあがる時間帯にしっかり勉強に取り組むことが大切です。また、決めた時間を有効に使うには、行動の切り替えが上手にできるようになることです。家庭内でお子さんが目に見えるところにいる場合、やるべき時間になったらせかしたり、叱ったりするのを我慢し、「あら、もう勉強の時間が来たね。がんばって!」などと明るく背中を押してあげていただきたいですね。
人間に与えられた時間は平等です。ただし、その使いかた次第で実質の時間は大きく変わります。限りある時間を有効に使える人間にお子さんが成長できるよう、温かく上手に応援してあげてください。時間管理や行動の切り替えは、小学生の今のうちにこそ上手になっておきたいですね。そうすれば、中学進学後の学業の進展のみならず、将来の歩みにまでよい影響を及ぼすことでしょう。これこそが、中学受験で得られる大切な宝物です。