オンライン親子セミナー‟広島女学院編”実施報告2
10月 9th, 2022
今回も前回に引き続き、「オンライン親子セミナー 広島女学院編」の内容をご報告しようと思います。前回のブログのおしまいに、広島女学院の中3と高3の生徒さん各1クラスで実施したアンケートの結果をご紹介しました。そのデータを、よろしければもう一度ご覧いただきたいですね。というのも、そこから広島女学院で学んでいる生徒さんたちの内面や実態をはっきりと知ることができるからです。特に目についたのは、「広島女学院のいいところは?」という質問に対して、中3生も高3生も、ベスト3となっている回答が、先生がよいこと、友達が得られること、校舎がきれいであることです。誰もが実感しているからこそのことでしょう。
もう一つ、「入学して、‟成長できた”と思うことは?」という質問に対して、中3生でいちばん多かった回答が「学習習慣や学習姿勢が身についた」というもので、2番目が「人前で話すことや新しいことにチャレンジする積極性が身についた」こと、3番目が「コミュニケーション能力が身についた」こととなっています。高3生の回答を見てみると、1番目が「相手を思いやる気持ち、多様な価値観が身についた」(礼拝、平和学習、人権学習などを通して身についたという認識)ことをあげておられ、2番目が「英語力が身についた」こと、3番目が「人との関わりかた(他者の話を聞く姿勢)、コミュニケーション能力が身についた」ことをあげておられます。中学の3年間で、まずは勉学の基礎を固めるとともに、女学院生としての基本的なことを浸透させ、高校生になってからはそれらを土台にして女学院の教育観を修めた人間へと成長しておられる様子がよくわかりますね。アンケートの回答からも、女学院さんの私学としての個性やよさがはっきりと伝わってきますね。
オンラインセミナーの残り約15分間においては、渡辺校長に3つの質問をし、それにお答えいただきました。
★質問1
校章は学校のシンボルで、学校の特色を物語るものです。広島女学院の校章に込められた意味を教えてください。
広島女学院の校章には、外周に沿って漢字とローマ字で示された校名の内側にCUMDEOLABORAMUS(クム デオ ラボラムス) ~我らは神と共に働く者なり~という聖句が入っています。その意味はわかりにくいかもしれませんが、キリスト教主義の教育を語ったものです。キリスト教主義教育は、聖書の言葉を大切にする教育を意味します。生徒に聖句を自由に選ばせると、ほとんどの生徒は「CUM DEO LABORAMUS」ではなく、もっと具体的な意味をもつ「あなたの隣人(となりびと)を愛しなさい」などの聖句を選びます。「CUM DEO LABORAMUS」は、様々なキリスト教の聖句の総まとめ的な存在なんだと思ってください。
なお、校章は広島女学院入学時にもらえるのではなく、入学したらまず中3のリーダーが賛美歌を歌うこと、聖書を読むこと、朝と夕方の礼拝の仕方などを教えてくれます。そして、2週間経った日の放課後に先輩から校章をもらうことになっています。
※校章の中央下には、もう一つ古い校章の時代から受け継いだアヤメの花をあしらった絵図が刻まれています。これは、アヤメの花がどんな土壌にあっても逞しく美しい花を咲かせることから校章のなかに取り入れられたそうです。女学院さんの校風とよくマッチしていますね。
★質問2
広島女学院は、どんなタイプの生徒も学校になじみ、女学院生としての誇りを胸に生き生きとした学校生活を送っているという印象があります。その理由についてお聞かせください。
広島女学院の入学した生徒は、みなさん学校になじんで変わっていきます。なぜかというと、「To Know よりも To Do、To Do よりもTo Be 」という考えかたが広島女学院の教育の根底にあり、それがすべての生徒に浸透しているからだと思います。To Know とは学ぶこと、To Do とはつながる・行動すること、To Be とは認めることで、それはあなたが何者か、生きるために何を大切にしているのかを意味します。この考えは先生も生徒も関係なく、全ての構成員に当てはまるものです。
人間は、自分を弱く小さいもののように思うときもあれば、何をしても調子よくやれそうに思うときもあります。それらの全部を含めて「あなたは尊い存在なのだ」という聖書の言葉を大切にする教育を広島女学院は実践しています。中1の廊下には、「99匹の羊をおいても、迷える1匹の羊を救いに行く」という絵画があります。この絵画は、自分を1匹の羊のように小さく弱く思えてくるときも、そんな自分を愛し支えてくれている人がいるということに気づかせてくれます。その気づきは、「何事も人のせいにしない」という考えかたや生きかたにつながるのではないでしょうか。広島女学院の生徒は、自分も他の人もかけがえのない尊い存在だという前提に立ち、互いが協力し助け合いながら学んでいます。だから誰もが学校を受け入れ、学校になじみ、生き生きとした生活を送っているんだと思います。
※上記レポートの後半は、校長先生のお話の内容が多岐にわたり高尚過ぎて、うまくまとめることができませんでした。おかしな点があったら筆者の責任です。お許しください。
★質問3
広島女学院がめざしているこれからの教育活動についてお聞かせください。
今日の社会では、「自己責任」ということがよく言われますが、学校にもその言葉が与えられています。子どもの数の少ないので、一人ひとりを大切にする環境も整っていますが、そうなればなるほど「あなたはこれでがんばれるでしょ?」と子どもたちを追いこんでしまう危険性があります。
広島女学院がめざすのは、こんな風潮のなかでほんとうに子どもが求められる力を育むということです。コロナで3ヶ月学校が休みになったとき、教員が大切にしたのは、「生徒を一人にしない」ということです。生徒が戻ってきたときにも、「あなたは一人になってはいけない」ということを伝えました。今このセミナーを視聴しているみなさんも、今の世の中に対して、一人ひとりが安心できる、一人ひとりが平和を求めているというふうに感じられない人も多いと思います。
世の中をよくするには一人では非力です。また、子どもたちが「自分は一人ではない」と思える環境が必要です。さらには、子どもたち自身もしっかりと勉強する必要があります。みなさん、今の小学校や塾の勉強を大切にしてください。その日の授業は一生のなかで1回しかないものです。広島女学院も同じ考えに立ち、生徒と学校とが協力して世の中をよくしていくための力を育むような授業を守りつくっていこうと考えています。
渡辺校長のお話はもっと深く多岐にわたるものでしたが、だいたい以上のような内容だったとご理解ください。残り時間は僅かでしたが、ご家庭から寄せられた質問に濱岡先生と高2の生徒さんとで答えてくださいました。台風の接近と重なり、校舎によっては代替え授業とこのセミナーとが重なってしまいました。視聴できなかったご家庭におかれては、このブログの記事も参考にしていただければ幸いです。
前回と今回のブログで、広島女学院の教育について新たな発見があったなら幸いです。渡辺校長、濱岡先生、高2の生徒さん、熱心なお話をどうもありがとうございました。