オンライン親子セミナー‟修道編”実施報告1
10月 16th, 2022
朝夕はめっきり冷え込むようになりましたね。今回は、10月2日に実施した「オンライン親子セミナー‟修道編”の内容をご報告しようと思います。事前の申し込みを270名前後いただいていましたが、昼過ぎまで6年生対象の模擬試験があったためでしょうか。視聴されない家庭がままありました。見逃したかたは、よろしければこのブログでおおよその内容をご確認ください。
この催しは、修道中学校高等学校の応接室から発信しました(セミナーでは、間違って「校長室から」と申し上げてしまいました)。上述のように6年生の模擬試験と日程が重なったため、午後4時からの開始としました。話者は修道の田原俊典校長です。田原校長は、広島の私学で最も強い発信力をおもちの先生です。今回もよいお話をいろいろとお聞かせくださいました。
まずは開始に先立って、筆者が修道の成り立ちをごく簡単にご説明しました。ご存知のかたも多いと思いますが、修道の前身となったのは1725年に広島藩の藩校として設けられた講学所です。文字通り、「学問(四書五経など)を教え説明するところ」です。広島藩士の子弟教育の場所だったのですね。藩校は全国各地に多数設立されましたが、広島藩の講学所はその中でも最も古いもののひとつです。男子教育の場として設立された、日本で最も長い歴史をもつ私学が修道なんですね。
セミナーの時間は約1時間という制限がありましたので、当日田原校長にお話しいただく話題の数を4つに絞りました。では、最初の話題からご紹介しましょう。
テーマ1 男を磨く場としての修道
修道は設立時から今日に至るまで、一貫して男子教育の場として実績を築いておられます。今でも、「男を磨く場」としての伝統を堅持しています。どんな男の子の育成にあたっておられるのでしょうか。
私立学校には、つくった人の思い、すなわち建学の精神があります。今私が手にしているのは、「男たちの修道」という本です。この本は、ルポライターのかたが取材して書かれたものです。「修道は、なぜ多くのリーダーを輩出しているのか」「修道出身者は、なぜ世界に羽ばたいて活躍しているのか」などについて、本校を取材して書かれたものです。もう一冊ご紹介します。この本は、「名門とは何か」というタイトルの本です。この本は全国の私学30校をピックアップして、その教育の特色を紹介したものですが、修道もその中に選ばれました。どちらの本も、学校が依頼したのではなく、日本の代表的私学のなかから修道が選ばれています。これは、修道の教育の価値を裏づけるものだと思っています。
修道には、ハビトゥスというか、家付き酵母菌のようなものがあり、そこで学校生活を送ると自ずとかっこいい男の子が育ちます。長い伝統、先輩たちが積み上げてきたものが校風や学校風土を形づくっているからだと思います。公立にも6か年一貫教育がありますが、私学のそれとは異なります。私学には教員の転勤がありません。入学した生徒が6年間成長していく過程を見守ります。だからこそ、入学者全員を型にはめて静かに授業を聞かせ、お利口な人間を育てるような教育はしません。何事も自由にチャレンジさせ、失敗させています。それを笑う者は一人もいません。そういう環境があるからこそ、今できなかいことがやがてできるようになっていきます。その結果として、いわゆるレジリエンスの高い、忍耐力や回復力の強い人間が育っていきます。修道がリーダーを育むのは、そういう土壌があるからだと思います。
私学には教員の転勤がないため、先を見た視点から生徒の成長を見守れます。また、生徒と学校愛という共通のバックグラウンドで繋がっています。男の子はどうあるべきかを学べる素晴らしい環境があるうえ、少々の失敗はマイナスになるどころか、むしろ男を磨くうえで肥やしになるという骨太な考えに基づいた教育を実践しておられます。6か年一貫教育の利点をうまく生かしておられるんですね。なお、ハビトゥスとは、生活や学びを通して育まれる個人の生きかたのようなものだとご理解ください。
テーマ2 修道でやりたいこと、進むべき道を見つけよう!
中学高校での6年間で、生徒さんは自分という人間が何者かに気づいていきます。勉学に、また部活に、様々な活動に打ち込むなかで、自分のめざすところ、進むべき道を見つけていきます。修道では、そんな生徒さんにどんなバックアップをしておられるのでしょうか。
学校生活を有意義なものにするうえで重要なものの一つが施設です。今日ではどの学校でも当たり前のようになっていますが、修道のグラウンドも高品質の人工芝です。プールは体育の授業や水球にも使用できるよう、ボタンで水深0cmから2mまで自在に変えられます。体育館の床材は膝や足首を痛めないようパラフレックスという素材を使っています。授業や班活動を安全なものにするうえで役立っています。
修道には、中3生対象のFLP(フューチャー・リーダーズ・プログラム)というのがあります。オーストラリアでやるか、修道でやるかを選択できます。国内では、日本のトップランクの大学に留学中の外国人学生約40人が修道に来てくれ、少人数で英語漬けの生活を体験します。国外のグループは、大学でプログラムされたリーダー教育を大学に行って受けます。国際理解教育を意図したものです(残念ながら、今はコロナで外国に行けません)。いずれも夏休み限定の特別体験ではなく、正式な授業と位置づけて2週間みっちり取り組みます。
なお、修道が誇れるものにSBR(修道ベーシック・ルーブリック)という冊子があり、全生徒が一冊ずつもっています。
・自分が今、どういう態度で学校生活を送っているか(価値観)
・自分は今何ができるか(スキル)この二つを柱として、「修道生としてめざすべき姿」に向かって、生徒が自分の力で成長していく取り組みを実践しています。毎年2回、全生徒が自分の言動や行動をテーマに沿って振り返り、目標にどれだけ近づいているかを5段階の指標で確認します。提出されたデータは専門家が分析し、さらに教員がチェックし、生徒に結果をフィードバックします。FLPを体験すると、プレゼン能力、協調性、世界貢献の意識に関する数値が目覚ましく上がります(SBRについてはHPでぜひご確認ください)。
実は私自身も行くのですが、明日から高2生の修学旅行があります。豪華客船を貸し切り、奄美大島、屋久島に行って、世界遺産となっている自然を体験するのですが、生徒にとっては大切な思い出となる大きなイベントです。新たな友人もできるのも修学旅行の魅力です。また、修道の体育祭や文化祭も生徒にとって大きな成長の場です。体育祭はグリーンアリーナで行いますが、他校の生徒さんや保護者も入って大いに盛り上がります。高3生の仮装行列はとくに有名ですが、下級生が「あんな風になりたい」とあこがれるほど見応えがあります。
もう一つ、強調しておきたいのが先生と生徒との関係です。本校の先生は「修道で教員になりたい」という人が集まり、自ら勉強し、高い意識をもち、熱心な授業や指導を実践しています。だから、卒業後も生徒との関係が続きます。たとえば、私は校長になって16年経ちますが、入試合格者に合格通知を渡すとき、かつての教え子が父親として息子さんを修道に入れてくれていることに気づくことが多々あります。いつまでも関係が続く。これも本校の教育の表れでしょう。
こうした要素が、「先々何をめざすか」「どんな人生を歩むか」について内面に様々な影響を与えているのだと思います。とにかく修道は、刺激に満ちた学校生活を堪能できる私学です。
テーマ②においては、リーダーシップ教育や国際的視野育成などのプログラムを実施したり、様々な行事を実施たり、自己研鑽のシステムを導入したりするなど、修道オリジナルの教育実践についてお話しいただきましたが、学校行事や友人関係、先生と生徒の関係などについての説明を伺うと、さらに修道という私学のもつ魅力がよく伝わってきました。これらが修道生らしさの形成に大きな影響を及ぼしているのは間違いありません。以下は、以前実施した修道生対象(中2生と高3生各1クラスで実施)のアンケート調査の結果をまとめたものです。みなさんそれぞれに、修道という私学、修道生に対するイメージをもっておられると思いますが、アンケート結果で自分のイメージ通りかどうかを確認してみてください。
文字数がだいぶかさみましたので、アンケートの結果についてのコメント、および3つ目、4つ目のテーマについての田原校長のお話の報告は次回に譲ろうと思います。どうぞよろしくお願いいたします。