年長対象「冬の体験授業会」のご案内 12/10・17
11月 24th, 2022
もうすぐ師走ですね。1年が経つのはほんとうに早いものです。現在、各学年とも冬期講座の募集をしていますが、今回は年長児を対象とする「冬の体験授業会」のご案内をしようと思います。弊社の三篠校(12/17)と広島校(12/10)で実施する、1日だけの催しです。
年長児というと、来春小学校に入学する子どもたちです。「何と気の早いこと!」と驚き、あきれられたかたもおられるかもしれませんね。なぜ年長児を対象とした催しを実施するのかについては理由があります。それは、これから児童期に足を踏み入れる子どもたちに、できるだけ早くから才能の芽吹きに向けた刺激を与えたい学習領域があるからです。子どもたち自身にその自覚は必要ありません。体験授業会への参加を通じて、保護者の方々に「どんな領域の才能を、どのような学習や体験によって開発可能か」をお伝えするのが主な目的の一つです。また、子どもたちには考えること、工夫すること、発見することの楽しさを実感する体験を提供したいと考えています。
この「冬の体験授業会」は、弊社が設置している「玉井式国語的算数教室」(小学1~3年生対象)の導入的な体験をしていただく内容となっています。今回は、時計と立体を学習しますが、まだ就学前の段階であることを考慮した内容ですのでご安心ください。どのお子さんも楽しく学習できるでしょう。なお、この講座は中学受験指導部門(4~6年生対象)がカリキュラムも教材もすべてオリジナルで展開しているのに対し、京都在住の教育クリエイターである玉井満代先生が創設された、低学年児童向けの才能開発講座を導入したものです。玉井式についての詳しい情報は、ホームページでお伝えしています。さらに詳しい情報を得たいかたは、案内書等をお取りよせのうえお確かめください。また、この体験授業会の参加要項は、ホームページにございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
玉井式を弊社が導入しているのは、言葉(話し言葉・書き言葉)をもとに状況をイメージする力や、図形の空間把握能力、イメージ操作能力などに優れた効果を発揮する講座だからです。これらは、中学受験での志望校合格だけでなく、さらに先の学力形成にも欠かせない能力です。
言語に関わる能力(結晶性知能)は、児童期前半までの生活や学習で素養が磨かれます。中学受験レベルの学習で求められる抽象的な思考のステージへと子どもたちがうまく移行していけるかどうかも、この段階までにおおよそ決まります。子どもたちは、小学校入学からのおよそ3年間で、文字の字形と発音の関係を学び、簡単な文の読み書きができるようになり、さらには黙読ができるようになり、自分で本を読んでストーリー展開を楽しめるようになります。一人ひとりのリテラシー能力の上昇カーブがどのようであるかは、そのプロセスで決まっていきます。
また、算数の学習で明暗を分けがちな図形単元や速さの単元で求められる感覚的素養(流動性知能)の発達は、幼児期から9歳ごろまでの遊びや学習が深く関わっています。冬の体験授業会においては、保護者対象の説明会を子どもたちの授業と並行して実施し、このことについて具体的にわかり易くお伝えしたいと考えています。いわゆる理系頭脳に長けた人間になれるかどうかは、この流動性知能の発達と密接に関わっています。こうした方面の能力が磨かれつつあるかどうかの判断は簡単ではないため、結局何もしないまま高学年に至る児童が少なくありません。中学受験対策の学習で、図形単元の学習が始まると、それが得意な子どもとそうでない子どもとが色分けされますが、その時点ですでに能力として決着がついており、あとから伸ばすのは難しいという問題があります。弊社が玉井式を導入しているのは、子どもたちに算数・数学で求められる素養を、適切な年齢期に適切な学習をすることで磨いてほしいと考えたからです。
以前もお伝えしたことがあるかと思いますが、言語系の知能(結晶性知能)は、思考によってものごとを解決していくあらゆる場面で必要とされる知能です。いっぽう、図形や速さなどの単元で威力を発揮する感覚的素養(流動性知能)は、言語を介さない、一瞬の反応や識別が求められる神経系の知能です。これらの素養の身につけかたは、男女それぞれに違う面があります。そのことについて、簡単にご説明しておきましょう。
1.言語性知能(結晶性知能)
どちらかというと、女子のほうの発達カーブが早く、一般に男子よりも思考の高度化も早めに進みます。抽象的思考は4年生ぐらいから発達していきますが、中学受験をめざす子どもたちにとっては、その段階に早めに漕ぎつけることが必須の要件となります。12歳の段階で、かなりの長文を2つ試験の制限時間内に読み通して問題に答えなければなりません。読むのが遅く、理解も浅ければ、とても太刀打ちできません。男子にとっての課題は、活字の連なりを目で追っていきながら、現実場面のように具体的にイメージしていく力を低~中学年までに養っていくことです。2年生頃から活発化する読書は、この力を養ううえで大きな力となります。玉井式では、長文を読んで描かれている状況をイメージし、物語に組み込まれた算数課題に答える形式の学習で、この言語性知能を磨くユニークな手法をとっています。
2.神経系知能(流動性知能)
一般にこの種の能力は男子に分があり、女子は苦手なケースが多いとされています。しかしながら、それは幼児期の遊びの種類が男子と女子では大きく異なることに起因している面があります。男子は動くもの、形あるものに興味を惹かれ、いじったり、組み立てたり、壊したりを延々繰り返すことで、知らず知らずのうちにそういった方面の知能が磨かれるようです。いっぽうの女子は、自由に遊ばせると、男子が好むようなものに興味を示しません。静かで動きがなく、色彩豊かなものに惹かれる傾向があります。着せ替え人形遊び、塗り絵などがそれにあたるでしょう。描画においても、男子は車やロボットなどを好んで描きますが、女子は動きのない綺麗なものを好んで描きます。その結果、知らず知らずのうちに流動性知能の発達に男女差が生まれる面もあるようです。
1と2の発達において男女差があるのは、ここでご紹介した理由だけではありませんが、主な理由の一つではあります。また、男子でも言語性知能がきわめて高い例がありますし、そのいっぽう、算数の感覚的素養が問われる課題をきわめて苦手にする例も結構あります。女子についても、国語を苦手にする子どもが一定数いるいっぽう、算数の感覚的素養においてすばらしい能力を発揮する子どももいます。
玉井式の講座は、男子の読解力不足、女子の感覚的素養の不足が中学受験でのブレーキにならないよう、低学年児童期に必要な体験を提供するために12年ほど前に導入したものです。現在の高学年部門の成績優秀者に、一定数玉井式の出身者がおられますが、もっと成果をあげてその数を増やしたいと考えています。刺激を当てるのは、頭脳の柔らかい年齢期が望ましいのは事実です。通学等の問題もありますが、年長児にそのよさを知っていただき、小学校入学の段階でご縁をいただけたらという考えもあり、今回の体験授業会を企画いたしました。
近年は、日本でも理数系に強い女性が求められています。また、世の中の変化がすすみ、「女子に学問(特に数学)は不要」などといった偏見も少なくなっています。「伸びるものは伸ばしてやりたい」という風潮が進んでいますから、チャンスさえ与えれば大いに能力を飛躍させる女子児童も多いことでしょう。学問に対して真面目なのは男子より女子ですから、大学受験でも最近は女子のほうが成績的に優勢です。おまけに理数系に長けた女子が増えれば、男子は追いやられかねません。その意味において、男子の場合はリテラシーの確かな基盤形成として、低~中学年児童期の学習が今後大いにクローズアップされることでしょう。男子にせよ、女子にせよ、お子さんをおもちの保護者にとっては「しっかりとした人間性と能力を携えた人間に成長してほしい」という期待をおもちであろうと思います。それを具現するにあたっては、男子と女子の能力開発における課題を理解し、適切な経験をわが子にさせることが大切だと思います。
この度実施する、玉井式の年長「冬期体験授業会」に参加してみませんか? お子さんには目新しい場所での学習体験がよい刺激になるでしょう。保護者には、低学年期に求められる学習について、もう少し詳しい情報をお届けいたします。ぜひ参加くださいますよう、ご案内申し上げます。