12歳の挑戦に幸あれ!!
1月 28th, 2023
広島県内の主要中学校の入学試験がまもなく終わろうとしています。ただし、本日(1月28日)に行われる県立広島中学校の入会者選抜(適性検査)をめざしている受験生も多数おられることでしょう。ベストパフォーマンスを発揮されますように!
広島学院、修道、ノートルダム清心、広島女学院等、広島の有力私立一貫校の入試はすでに終了し、合格者の発表も行われました。あとは若干の補欠合格者に繰り上がりがあるかどうかといった段階です。弊社の会員の入試結果も掌握していますが、補欠からの繰り上がり合格者の確認を終えていませんので、公表はもうしばらく先になろうかと思います。ご了承ください。
入試を終えて無事に合格の夢を叶え、万歳の声をあげたり、ほっと胸を撫でおろしたり、無言で静かに万感の思いを噛みしめたり…。結果は同じでも、表情や態度への表れは受験生のタイプに応じてそれぞれに異なっていることでしょう。しかし、念願が叶った喜びはみな同じです。みなさん、ほんとうによくがんばりましたね。そして、おめでとうございます!
受験生の子どもたちは、この日のために長い期間、勉強以外のやってみたいことや楽しみを我慢し、自由に使える時間を制限して受験勉強に打ち込んできました。受験までの道のりは誰にとっても決して平たんではありません。人がうらやましがるような成績のお子さんでも必ず好不調の波はありますし、受験までのプロセスで様々な葛藤を抱えるものです。まして、成績が上がったり下がったりを繰り返してきたお子さんは、揺れる感情に翻弄されることも多く、そのたびに「負けるもんか!」と歯を食いしばってやる気を鼓舞し、受験勉強を投げ出したい気持ちを克服されたのではないでしょうか。
中学受験の主役は、言うまでもなく入試に臨むお子さん自身です。ですが、まだ独り立ちには程遠い年齢の小学生の受験は、高校や大学をめざす生徒さんのそれと同じわけにはいきません。何かあるたびに取り組みや生活の様子が変わるわが子をいかにサポートするか、そのつど保護者は悩まれたことでしょう。外ならぬわが子のことゆえ、山あり谷ありのプロセスを見守るのは辛いものです。まだ小学生の受験ですから心配の種は尽きません。
調子が上がったときのわが子を見るのは親としてうれしいものです。その成長ぶりに目を細めたこともおありだったでしょう。しかし、よいことよりもはるかに多いのが、未熟さをさらけ出す場面です。成績が低迷したり、取り組みに異変を来したりすることはしょっちゅうですし、がんばっているのに成績が伴わないで苦しむことも少なくありません。なかには、遊びにかまけたり、友達付き合いに気持ちが傾いてしまったりするお子さんもいます。そういうことがあるたびに心配し、叱ったり、励ましたり、一緒に残念がったり落ち込んだり、物言わぬわが子に静かに寄り添ったり…。親だからこその苦労です。その意味において、保護者、とりわけ生活面でのフォーローもかねて世話をされてきたおかあさんには、心より慰労の言葉をかけて差し上げたくなります。ほんとうにお疲れさまでした。
ただし、筆者は家庭学習研究社に在籍して35年以上になりますが、中学受験の世界に長い間籍を置いてつくづく思うことがあります。それは、「中学受験には勝者も敗者もない。中学受験をしたことのほんとうの成果は、この後の人生で少しずつ明確になってくるのだ」ということです。
受験というものの宿命ですが、合格する受験生もいれば、合格の夢の叶わない受験生もいます。しかしながら、合格した受験生は必ず以後の人生が保障されるのかというと、決してそうではありません。また、合格できなかった受験生は以後もずっとその結果を引きづって辛い思いをするのかというと、これまた決してそんなことはありません。中学高校の先生がたに伺っても、「受験をやり直すと、受験生の順位はその都度相当変わるでしょう」とおっしゃいますし、さらには「入学時の成績の序列がそのまま6年間継続されるということはありません」とはっきりおっしゃいます。つまり、たとえ入学試験であっても、テストでほんとうの子どもの力は測れませんし、ましてや先の人生を占うことなどできないのです。受験生活の成果として信じられる確かなもの。それは努力の積み重ねで培われた、ものごとに取り組む姿勢ではないでしょうか。これこそが中学受験で得た宝物です。これまでの努力は少しも無駄にはなっていません。これからも努力する姿勢を決して失わないでいただきたいですね。
毎年のように保護者にお願いしていることがあります。それは、これまでの受験生活を親子で振り返ってみることです。志望校に受かったお子さんにも、受験生活での反省点はあると思います。逆に、志望校進学の夢が叶わなかったお子さんにも、受験生活で得た貴重なものがあるはずです。成果と反省点を検証し、新たな中学校生活に臨んでいただきたいですね。
個人的に筆者が思う中学受験をすることの価値とは、大まかに言うとつぎのようなものです。
①学習の習慣や、計画に沿った行動様式が身につく。
②決めたことをやるのが当たり前だという実行力が養われる。
③自分の取り組みを振り返り、自分で修正する力が養われる。
この三つは、長い人生で自己の夢を実現させたり、有意義な生活を送ったりできるかどうか左右する重要な要素です。これらを養う格好の場が中学受験への挑戦だったのです。お子さんが最後まで受験勉強を継続されてことをまずはほめていただきたいのですが、そのうえで上記の三つについてどのぐらい身についたかを一緒に振り返ってみてください。
なかには受験の結果が期待通りにならず、気持ちが塞いでいるお子さんもおられるでしょう。そんなお子さんの保護者におかれては、気持ちの落ち着いたころ合いを見計らい、一緒に受験生活を振り返っていただきたいですね。どのお子さんにも、受験生活を通じて上記の三つについて進歩しておられるのは間違いありません。そのことを指摘したうえで、最後まで努力してきたことをぜひ喜び褒め称えてあげていただきたいと存じます。そして、自信と希望を胸にして新たに始まる中学校生活へと送り出してあげてください。
受験で身につけた努力の姿勢こそ宝物。12歳の挑戦に幸あれ!