2023 公立一貫校の受検結果と進学状況
2月 18th, 2023
中学入試が終わり、弊社会員の合格者や進路選択の状況がほぼ判明しつつあります。そこで今回は、弊社会員の公立一貫校受検状況と、合格者数、進路としての選択状況をお伝えしようと思います。なお、資料はあくまで参考としてお知らせするものです。会員家庭から提出していただいた報告書をもとに作成していますので、絶対的なものではありません(まだ未提出の家庭が若干あります)。
とりあえず、弊社会員の主要な受検対象である広島県立広島中学校と広島市立広島中等教育学校の受検状況と合格・進学の様子はあらかた掌握できていますので、この2校についてご紹介してみましょう。
主要公立一貫校の受検状況と弊社会員の合格・進学状況 (2/24 現在)
学校名 定員 志願者 弊社受検者 弊社合格者 弊社進学者 県立広島中学校 160 638 男子27 57 男子11 34 男子8 24 女子30 女子23 女子16 市立広島中等教育学校 120 354 男子19 38 男子11 27 男子7 17 女子19 女子16 女子10 ※県立叡智学園中学校の合格者は3名、進学者は2名です。
公立一貫校は、基本的に合格発表時は定員数通りに合格者を公表します。したがって上記2校共にかなりの倍率であり、一定期間のきちんとした受検対策なしには受かりません。これまで県立広島中学校も市立広島中等教育学校も、弊社会員の受検状況を見るかぎり男子よりも女子の進学対象校として人気が高く、女子の受検者が男子よりもかなり多い現象が続いていました。これは複数の子どものいる家庭の経済的な負担や、女子の共学志向が高いことなどが主な原因と考えられます。
ただし、県立広島は平成16年の開校当初から「ことば科(中学課程)」などの教育実践が評価されるとともに、大学への進学実績も良好なことから、最近では弊社においても男子の受検者・合格者の比率が高くなり、実際に受かった場合にも進路として選択するケースが増えています。
市立広島中等教育のほうは、弊社会員においては女子のほうに人気が偏り、弊社の男子は受かっても進路として選択されるケースが少なかったのですが、今年に関してはかなりの数の合格者が進路として選択しています。その理由はまだ掌握していませんが、同校は熱心な教育実践で入学者の満足度も高く、男子受験生の人気が高まったとしても不思議ではありません。
① 県立広島中学校
弊社からの受検者の校舎別の内訳を見ると、地元の東広島校からの受検者が最も多く、僅差で広島校から多く受検しています。最近は呉校からの受検者も増えており、合格者も5名出ています。その他の校舎からの受検者は男女とも少数でした。なお、弊社の場合は基本的に広島の有力私学への進学指導が中心となっていますが、県立広島は上述のように東広島市および周辺地域以外のJR沿線に住まいのある家庭のお子さんの受検が徐々に増えています。私学受験に対応する十分な基礎学力をつけたうえで公立一貫校対策の指導を受けた子どもたちの学力は総じて高く、ノートルダム清心や広島女学院との重複合格者が多数います。県立広島に進学したら、大学受験までの6年間でやることは基本的に同じですから、これまで培ってきた確かな基礎学力が大いに威力を発揮することでしょう。
なお、県立広島に合格したものの、他校を進路に選んだ受験生の進路はつぎのとおりです。男子は、修道1名、国際学院1名(このお子さんは広島学院・修道にも合格)、広島中等教育1名でした。女子は、ノートルダム清心4名、広島女学院1名、広島大学附属1名でした。合格者のうち1名は、まだ進路が判明していません。
②広島中等教育学校
広島中等教育学校は、安佐北区の山間の団地に位置するため、交通手段がバスに限られます。しかも市の中心部から遠いため、弊社会員の場合、三篠校と広島校会員の受検がほとんどです。男子の場合、これらの学区の受験生の最もポピュラーな進学対象校は修道であり、多くの受験生が修道との併願でした。したがって、修道に受かったら大半が修道を選択するのが一般的でした。しかし、今年は男子合格者の歩留まりがかつてないほどほどよく、合格者11名中7名が同校に進学する模様です。
広島中等教育学校は、立地条件ゆえ県立広島ほど多くの受験生を集めていませんが、それでも実質倍率はかなり高く、簡単には受からない学校となっています。弊社の合格者を見ても、かなり高い学力を有している子どもたちでした。今年は特にその傾向が強く、たとえば男子の場合、広島学院や修道との併願ですべて合格した受験生もおり、そのなかには進路としても同校を選択している例もあります。
ついでながら、広島中等教育学校は「山間の奥まった場所にある」というイメージが強く、そのため受験生の居住地が安佐北区や安佐南区などに偏っています。ですが、バスの便は結構多く、多少は遠くても進学する価値のあるよい学校だと思います。筆者は同校の近隣に居住していますが、見かける生徒さんの立ち居振る舞いは好ましく、勉学にしっかりと向き合っているという印象があります。通学にかかる時間を調べ、この学校を受験候補の一つにあげてみてはいかがでしょうか。
なお、広島中等教育学校に合格したものの、重複合格した他校を進路に選んだ受験生はつぎの通りです。男子は、広島学院2名、修道1名でした。女子は、ノートルダム清心3名、広島大学附属2名でした。女子合格者のうち2名は、まだ進路が確認されていません。
上述のように、弊社は広島の伝統的私学4校(学院・修道・清心・女学院)への進学指導を軸に置いた指導をしていますが、近年は公立一貫校への進学希望者が相当数あり、公立一貫校対策の指導にも力を入れています。6年生の4月末までの「基礎力養成期」の指導は悉皆で行っており、「応用力養成期」に入ってから希望者を対象に公立一貫校対策の指導をしています。私立の有力校に行く受験生と遜色ない基礎学力をつけておけば、公立一貫校に入ってからも学力面で大いに飛躍が期待できるでしょう。また、大学受験で求められる学力はどんな形態の中学高校を経由しても一緒ですから、なおさら基礎を固めておくことが有効に作用すると確信しています。
この記事が来年以後の受験生家庭の参考になれば幸いです。