5月 22nd, 2022
6年部は、4月末をもって小学校課程の学習を終えました。そして今や、本格的な受験対策を展開する「応用力養成期」に突入しています。これからお子さんの取り組みは徐々に熱を帯びてくると思います。おたくではどうでしょう? 親子共々今からが大変です。悔いの残らぬようがんばってまいりましょう!
とは言え、応用段階に入ったからと言って一気に学習の難度を上げるわけにはいきません。教科書内容の学習を終えたばかりの受験生の学力は、まだ入試のレベルには遠く及びません。したがって、入試までの期間を睨みながら、計画的に段階を踏んで学力を引き上げていくことになります。この応用段階の学習で大いに役立つのが"質問”です。質問は、無駄な時間を省き、効率の高い学習を実現するうえで大いに威力を発揮するからです。
ところが、質問は小学生の子どもにとっては勇気の要る行為です。また、どこをどう質問すればよいのか、それすら判断できないお子さんが多いのが現実です。中学生や高校生になると変わってきますが、小学生にとっては敷居の高い行為なんですね。その一方で、厳然たる事実があります。質問はしたほうが一人で頭を悩ませるよりも収穫が多いに決まっていますし、先生への質問を上手にしているお子さんほど成果をあげています。また、質問を繰り返すプロセスで先生から多くの受験に関するアドバイスももらえます。こんなに得なことはありません。今回の記事はこのことを踏まえ、どうにかして質問ができる状態を築けないものかと思って書き始めたしだいです。
本題に入りましょう。ご存知のように、質問は闇雲にすればよいというものではありません。たとえば、算数の解法を懇切丁寧に教えてもらったとしても、質問者が疑問点や自分が突き当たっている壁を明確に意識していなければ、ただ解きかたを教わっただけで終わりかねません。先日、ネットの記事で見かけたのですが、「欧米人はあまりに早く答えを知りたがる」という指摘がありました。「わからないことがあれば即質問」というわけです。しかし、これでは自分が直面している壁を突き破ることにはならないし、質問して疑問が氷解した喜びも味わえず、更なる意欲が湧いてくることも期待できません。
いっぽう、日本では練習を積むことで答えを見つける力を養うことが推奨されています。日本の先生の役割は、子どもの質問に答えることではありません。子どもを自己発見へと導いていくことにあるのです。しかしながら、自分で練習を積み重ねる段階で挫折する子どもも少なくありません。自力解決にこだわるあまり、徒に時間とエネルギーを費やすことも少なくありません。質問による学習 VS 自力解決学習、どちらが有効なのでしょうか?
この問いかけに対して、みなさんはどう思われますか? たぶん、多くのかたはつぎのように考えるのではないでしょうか。「よく考えもせずに安易に質問してもダメだけど、一人でいくら考えても解決に至らなければ努力は無駄になりかねない」と。日本では、自己鍛錬という考えかたがあり、人間修養の一環として「他人に頼らず自分で解決する」ということにこだわる傾向があるように思います。それが質問下手につながっているのかもしれません。しかしながら、自立という概念のなかには、「自分でどうしても解決できないときは、他者の力を借りて解決する」という姿勢も含まれます。上手に質問したり、他者の助力を得て解決する力を養ったりすることも、人生をわたるうえで重要なのは間違いありません。要はバランスであろうと思います。
できるなら、夏休みまでに質問を要領よくできるようになっておきたいですね。夏の講座では、先生に質問できる時間も普段の講座より多くありますし、夏休み頃から入試問題への取り組みも始まります。上手に質問して成果をあげられるよう、上手に質問ができる態勢を整えておきたいところです。
前述の内容からおわかりいただけると思いますが、いざ質問をしようと思っても、いきなり上手に質問できるとは限りません。多くの場合、どう質問してよいかわからない、うまく知りたいことを先生に伝える自信がないため、質問を躊躇したり断念したりすることになりがちです。そこで、今から質問上手になるための練習を意識的にしておくとよいでしょう。以下はその例です。
順序が逆になります(多くの子どもが突き当たっている課題を先にします)が、まずは②の説明から。自分の考えを理路整然と話せるようになるには、人に説明する体験の繰り返しが不可欠です。感覚的な部分も含め、自分が今考えていることを言語化する訓練は、自分の思考をクリアに整理整頓することにもなります。このような練習は、学力とあまり関係ないように思われるかも知れませんが、やればやるほど頭脳が鍛錬されて明晰になりますから、ぜひお子さんの練習相手になってあげてください。これはもう、他では絶対にできない、家族ならではのサポートです。
お子さんは、①のような取り組みを日頃の家庭勉強でしておられるはずですが、「なんとなく」形式的にやっていることはありませんか? 家庭勉強の基本を、これまで以上にしっかりとやってください。たとえば、算数のテキストの練習問題で、解くための糸口が見つからないときには「要点チェック」を何度も見直したり、授業で取ったノート(特に板書や自分の気づきメモ)を点検したりしていると、突破口が見つかることがよくあります。そのやりかたをもっと徹底し、洗練させましょう。こういう取り組みをくり返していると、たとえ自力解決できなくても、「何がわかっていて、どこがわからないでいるのか」を頭の中で整理する力が養われます。それが要領よく質問するうえで大いに役立ちます。
この二つを2カ月余り継続されたら、おそらくお子さんは随分変わります。①は自力解決能力のスキルアップ、②は要領よく質問できるようになるためのスキルアップで、この二つが連動するようになると、飛躍的に質問力が高まるとともに、お子さんは冴えた頭脳のもち主へと成長していきます。中学校進学後の長い学習生活においても、上手に学力を伸ばしていくための体制も整うことでしょう。
最後に。子どもの頃から勉強が得意で、たいがいの入試問題を解ける保護者もおられます。ですが、よくわかっている大人程全部を教えてしまいがちです。また、一生懸命教えているのに成果が伴わず、無意識に子どもを傷つけるようなことを言ってしまうこともあるようです。これでは親のサポートも逆効果を招きかねません。恵まれた家庭のお子さんが、親以上の学力に到達しないケースが見られる理由も、それと無関係ではないような気もします。学習指導のプロは、解きかたをすぐには教えません。考えかたや解きかたの糸口を発見させるよう導きます。それによって、子どもは発見の喜びを味わい、更なる意欲を駆り立てて学びます。学問での大成は、そういう勉強で実現するものではないでしょうか。
中学受験は12歳の一度だけ。今できる、家族ならではの応援をしてあげてください!
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5月 11th, 2022
去る4月24日(日)、家庭学習研究社オンライン親子セミナー「公立中高一貫校の魅力とは?広島市立広島中等教育学校編」を開催いたしました。昨年秋にはオンラインセミナーの広島学院編とノートルダム清心編を実施し、多くの会員生家庭の方からご好評いただきましたが、今回は「公立一貫校の魅力をお伝えしたい」との思いから、広島市立広島中等教育学校(以下「市広」とさせていただきます)にご協力いただきました。
当日は配信会場として市広の学内にあるスタジオをお借りし、話し手として、第4学年主任の菅本和秀先生と同校5年生(高校2年生)の生徒会長をされている生徒さんにお願いしました。当日は、司会を務めた当社スタッフから色々な質問や話題、参加された方にいただいた質問事項などをお聞きする形で進めていきましたが、多岐にわたる様々な話題を振らせていただいたにもかかわらず、一つひとつわかりやすく丁寧にお答えいただきました。
本来は会員生のご家庭しか見ることのできない催しですが、今回はこのブログをご覧の皆さまにもちょっとだけご紹介したいと思います。
1.学校独自の教育活動や取り組みについて
先生からは、まず市広独自の取り組みとして掲げられている「LISI(立志)プロジェクト」についてご説明いただきました。将来のグローバル人材の育成を目標として、リーダーシップ育成・伝統文化教育・知的探究活動・英語教育……などに取り組まれているとのこと。生徒さんからは、先生が挙げられていた「知的探究活動」についてお話しいただきました。探究活動の一環として、4年生(高校1年生)時に論文の書き方を学び、各自がテーマを決めて執筆にあたるそうです。他にも、市広の特徴として学校活動の多くが「生徒主体」で進められているという点を挙げられて、そうした活動の中で自然とリーダーシップが育まれていると言われていました。
2.6か年一貫教育と少人数指導について
定員は1学年120名で1クラス30名編成となっており、「6か年一貫教育+少人数クラス」が市広の特徴の一つになっています。少人数であるが故に、先生側から全生徒に目が行き届くため、学校全体が家族のようにまとまっていて、先生と生徒の間の距離が近いことが指導にも活かされているとのこと。生徒さんも、生徒同士の団結力が強く、みんな意欲的に勉強にも取り組んでいて、先生への質問もしやすいため、授業の雰囲気がとても良いと話されていました。
3.学習面のサポートについて
「入学後、もしも授業についていけなくなったら……」と心配されている方もおられると思います。その点に関して先生から、特に個人差のつきやすい数学に関しては早い段階から習熟度別に指導を行っていること、必要に応じて補習も行っていること、学習用アプリの導入も検討していることなど、市広の取り組みについてご説明いただきました。生徒さんからは、いつでも先生に質問できる環境なので授業への不安はほとんどないし、生徒間でそれぞれの得意教科の教え合いが活発なことにも助けられているから、これも少人数クラスの良さの一つなのかもと言われていました。
4.家庭学習研究社から生徒さん達への事前アンケート結果の発表
このパートでは、家庭学習研究社スタッフである司会者から、3~5年生(中3~高2生)計131人の生徒さんにご協力いただいた事前アンケートの結果をお伝えしました。
①「学校がある日は何時に起きているの?」
……最も多かった回答は「6時」で約30%。最も早いのは「4時」!(ただし、家庭学習やお弁当作りのための早起きのようです)。
②「どうやって通学しているの?」
……回答のうち、8割以上の生徒さんが「バス」を利用。学校のそばにバス停があり、遠方からはバスが便利。
③「市広をひとことで言うと?」
……キーワードでまとめると、「個性」「楽しい」「明るい」「自主性」など。これらの言葉が学校の雰囲気をよく表しています。
④「市広のよさや自慢できるところは?」
……こちらもキーワードでまとめると、1位「友達・先輩・後輩・先生」、2位「英語教育」、3位「行事・団結力」。
⑤「市広で学んで身についたことは?」
……1位「コミュニケーション力」、2位「勉強する習慣」、3位「英語力」。
アンケート項目③~⑤では、いずれも「人」に関する回答が最も多く寄せられました。この結果からも、市広の特徴や魅力が、学校を形成する先生や生徒さんなどの「人」に集約されていることがよくわかりますね。
5.卒業後の進路について
令和4年度大学入試では、7割以上の生徒さんが県内外の国公立大学合格を果たされています。特に地元広島大学への進学者に関しては、卒業生に占める「率」が全高校の中でトップレベルであり、さらに令和4年度入試では国公立大学の医学科にも4名進学したそうです。特に国公立大学への進学を奨励するような指導はしていないけれど、国公立大学への進学指向の生徒さんが多い、とのこと。進路指導の一環として、3~4年生(中3~高1)の時期に様々な大学について学び、3年生時には地元の広島大学を訪問して大学生と交流する行事を行われています。さらには、今は新型コロナの影響で一時中断しているものの、東京大学・京都大学のキャンパス訪問も実施されているそうです。
その他にも、市広に入学するためにクリアしないといけない「適性検査」のお話や、4年生(高1生)以降の「特進授業クラス」に関するお話、宿題や部活動に関するお話……など、1時間の設定時間ではとても足りないほど盛りだくさんの内容で、学校案内書だけにはおさまりきらない市広の魅力について語っていただきました。
セミナーの最後に、先生からは「私が市広で最も自慢に思っているのは、生徒達です。もしご縁があったら、みなさんもその一員となってもらえたらうれしいです。一緒に未来を作っていきましょう!」、生徒さんからは「中学受験は辛いことが多いけど、保護者の方はあたたかくお子さんを見守って、児童の皆さんはお父さん・お母さんに感謝の気持ちをもって、親子で一緒に頑張ってほしいです。応援しています!」と熱いメッセージをいただきました。きっと、今回のイベントに参加されたご家庭の保護者の方々、小学生のみなさんにも、先生と生徒さんの想いを感じ取っていただけたことでしょう。
なお、5月に予定されている市広のオープンスクールは、午前の部は受付開始から1時間ほどで、午後の部は半日ほどで定員に達して受付終了になったとのこと。次回のオープンスクールや他の公開行事も予定されていますので、参加を希望される方は同校HPをチェックして、チャンスを逃さずお申し込みください。
セミナー終了後の参加者アンケートでは、「お話を聞いて、自分もこういう学校で学んでみたいと思った」「勉強へのやる気を高めることができた」「先生と生徒さんの熱意が伝わってきた」「遠方で通学は難しいと感じていたが、今回のセミナーに参加してぜひ行ってみたいと思った」など、参加された方からご満足いただけた旨の感想を数多くいただきました。
ご出演いただいた御二方には、休日にも関わらず快くご協力いただき、大変感謝しております。本当にありがとうございました。
以上、家庭学習研究社オンライン親子セミナー「公立中高一貫校の魅力とは?広島市立広島中等教育学校編」のご報告でした。
最後に……予告になりますが、同セミナー第二弾として、「公立中高一貫校の魅力とは?広島県立広島中学校編」を企画しています。こちらも当社会員限定イベントにはなりますが、参加された方にご満足いただけるよう、スタッフ一同で鋭意検討・準備を重ねているところです。開催時期が近づきましたら改めてご案内いたしますので、こちらもぜひお楽しみに!
(Butsuen)
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4月 24th, 2022
もうすぐGW(ゴールデンウィーク)がやってきます。毎年、弊社はこのGWに合わせて一週間ほど休講とさせていただいています。弊社の指導担当者は仕事柄年間を通じてまとまった休暇がなかなか取れません。そこでGWの休講期間を、リフレッシュのための休暇に充てているしだいです。ご了承のほどお願いいたします。
子どもたちも、この時期は家庭行事などいろいろとあり、勉強に集中しづらいと思います。一息つきつつも新年度の開講からこれまでを振り返り、成果と反省点を洗い出しておきましょう。講座の再開後にはより成果のあがる学習ができるよう、心づもりしていただきたいですね。私どもも気合を入れて指導にあたってまいる所存です。
さて、今回の話題はどちらかというと小学校の低~中学年児童の保護者に向けた内容となっています。弊社にお子さんを通わせている保護者の方々はどなたも教育熱心です。学問をきちんと修め、さらに人間としてしっかりした成長を遂げ、有意義な人生を歩んでほしいと願っておられることでしょう。そのための中学受験であるのは言うまでもありませんね。
さて、このようなよい人生を歩んでいる人間は、ある種の共通項でくくれる特徴を携えていると言われます。それは何でしょうか。考え得る事柄を挙げるといろいろとあります。勤勉であること(努力家であること)、豊かな発想力をもっていること、粘り強い取り組みができること、信念を曲げないこと、行動に計画性があること、集中して物事に取り組めること等々、いくらでも頭に浮かんできます。ですが、今回挙げる事柄は、学問に限らず人生の成功者になる確率がきわめて高い要素です。それは何かというと、一言で表現するのは難しいのですが、「目先の楽しさや利益よりも、自分にとってよりよい結果を得ることを志向し、自分の行動を抑制しコントロールできること」と申し上げれば、おおよそご理解いただけるでしょうか。
端的な事例を挙げてみましょう(以前もご紹介したことがあります)。幼児に、「ここにあるお菓子を一つあげるよ。食べたかったらすぐに食べてもいいんだよ。でも、私が戻ってくるまで食べるのを我慢したら(約15分程度)、同じものをもう一つあげるよ」と言ったとしたら、その幼児はどう反応するでしょうか。これは何十年も前にアメリカの心理学者が行った有名な実験です。この実験のために多数の幼児が集められましたが、大半の幼児は目の前のお菓子の誘惑に負けて食べてしまったそうです。しかしながら、一部の子どもはすぐに食べたいという気持ちを我慢することができ、ご褒美としてもう一つお菓子を手に入れたそうです。
どうやって我慢できたのかというと、「あのお菓子はまずいに決まっている」と自分に言い聞かせたり、他の楽しいことに気持ちを逸らせてお菓子の誘惑に対抗したりと、子どもなりに思考し、工夫を凝らしたのでした。この実験の結果が世界中に流布したのは、目の前のお菓子を我慢できた子どもたちのその後、それも20年後30年後といった長いスパンでの追跡調査が行われたためであろうと思います。そして、驚くべきことが確認されました。目先の誘惑をコントロールできた子どもは、学問的にも優秀なレベルに到達する確率が高く、さらに社会に出てからも高収入で高い地位を得ている人物が多かったのです。この実験の結果は、自己抑制、自己制御がうまくできることが、人生の成功者になるうえで大きな条件となることを教えてくれるでしょう。
これは大人の世界でも言えることですが、目先の利益に走りがちな人、当面の欲求を押さえることができない人は、何をやっても中途半端、もしくは失敗を繰り返しがちで、自分が思い描く理想に少しも近づくことができません(かく言う筆者も反省しなければなりません)。目先の小さな利益に目もくれず、より多くの成果を得るために自分の行為を適正にコントロールできる。そういった人間にわが子が育つよう、親は何とかして導いてやりたいものですね。なにしろ幼児期にして、すでにそういった人間に育ちつつあるか否か、その兆候が見られるのですから。親がわが子のためにサポートできる今のうちにがんばってみようと思いませんか?
「でも、うちの子はもう小学生。ちっとも我慢強くないんです」「目先のゲームや遊びにかまけてばかり」とおっしゃる保護者もおありかもしれません。しかし、「まだ小学生なのだから何とかなる!」という発想をしていただきたいですね。あと何年か後、わが子が中学生になってしまったら、もはや親は何もしてやれないのですから。
平凡な例で恐縮ですが、次のような関わりかたをしてみたらどうでしょう。
陳腐な例で申し訳ありません。より多くの成果をあげるためにどうしたらよいか。それを子ども自身に考えさせないと、おそらくこういった姿勢は身につかないでしょう。つまり、「……しなさい」「こうやるのよ」などの命令や指示では効果を引き出せません。何につけても、子ども自身に考えさせ、実行の様子を見守り、結果を子ども自身に引き取らせる。そういった接しかたが望ましいのではないでしょうか。
結果が伴わなくても叱るのではなく、反省を強要するのでもなく、「どうしてうまくいかなかったんだと思う?」などのように、親は期待をし、関心をもっていることを伝えつつも、結果が得られなかった理由を子ども自身に考えさせ、再びやらせてみるのです。そういうことをくり返せば、「上手くいかないのには原因がある」「自分のやりかた次第で結果が変わってくる」という自覚が生まれます。
どうやったらもっとよい結果が得られるか。どうすることが自分にとって満足できるのか。それを考え、自分で工夫する姿勢が身についたなら、結果にこだわりをもつようになるし、「自分の考えが甘かった」という反省も生まれます。やがては、人に指図されてやる受け身の勉強をすることが、とうてい許せない人間になっていくのではないでしょうか。
大人(親)は忙しく暮らしています。わが子の子育てに関しても、ゆっくりと時間を割くのが難しい人もおありでしょう。そこで、つい手っ取り早く指示や命令でことを済ませようとしがちです。しかしながら、子どもの毎日の生活は、やがて大人になったときのための大切な勉強の場、訓練の場です。自分にとって満足のいく結果、より大きな成果につながるのはどうすることなのかを、自分で考え、失敗し、試行錯誤しながらより望ましいやりかたを自分で獲得する経験を大切にしてやるべきではないでしょうか。
学校での勉強も、弊社に通っての勉強も、さらには好きなスポーツや習い事も、向上をめざして自分で考え工夫する経験を積み重ねていけば、目先の僅かな利益を得る喜びよりも、辛抱してより大きな成果を得る喜びのほうがずっと大きく価値のあることだと気づくのが人間というものです。おたくのお子さんも、ぜひそのような人間へと成長されることを願っています。
今、親がわが子にしてやるべきことは何かを考え、実行していきましょう!
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4月 17th, 2022
学校の新学期がスタートしました。新小学1年生の子どもたちにとって、小学校は初めて足を踏み入れる未知の世界です。建物の規模も、グランドの広さも、子どもの数も、幼稚園の頃とは全く変わります。「小学校はどんなところだろう?」という期待と、「ちゃんとやっていけるかな?」という不安とが交錯し、胸をドキドキさせながらの入学式だったことでしょう。あれからおよそ1週間が経ちましたが、お子さんは新たに始まった小学校生活を受け入れ、楽しく通っておられるでしょうか?
また、2~6年生の子どもたちは、一つ上の学年に進級したことで、「お兄さん、お姉さんになったんだ」という自覚も生まれたことでしょう。この進級という経験を繰り返し刻んでいくことで、少しずつ年長者としての自覚を高めていくわけですね。特に6年生の子どもたちは最上級生になりましたから、ことさら意識の変化も大きいことが想像されます。弊社の教室に通う6年生の場合、来年の中学受験も視野に入っていますから、一段と引き締まった面持ちで新学期を迎えられたことでしょう。
さて、今回は子どもたちが勉強する理由とはどのようなものかを、大規模なアンケート調査の結果を通して確かめてみようと思います。この調査は、ベネッセ教育研究所が2004年11~12月に実施したものです。調査からかなり年数が経っていますが、十分参考になる資料だと思います。なお、調査対象者の住まいが都市部か農村部か、教育環境の状態の違い、サンプル数など、調査結果の変数となる要素は十分に吟味されています。詳しくは掲載しませんのでご了承ください。では早速資料をご覧ください。
勉強する理由(学校段階別)※グラフ画像をクリックすると拡大表示されます
図表の右手やや下側に説明がありますが、各3本の棒グラフのうち、上が小学生、真ん中が中学生、下が高校生の回答です。この資料をご紹介したのは、子どもが勉強する理由をどう答えているかがある程度わかれば、子どもへの望ましい接しかたも見えてくるだろう思ったからです。
資料を上から順に見ていきましょう。「問題が解けるのがうれしいから」や「いろいろな考え方を身につけることができるから」という回答は、自己向上心の表れであり、年齢に関わりなく純粋で望ましいものです。小・中・高いずれの段階においても、一定数の子どもが勉強する理由としてあげているのがうれしいですね。さらに、小学生の比率が高い点が注目に値します。解けたときの喜びや達成感、新しい知識を習得することの喜び。これらをわが子が実感している瞬間を見逃さないようにしましょう。そんなときには、すかさず喜んだり、感心したりするなど、親がどう感じているかを子どもに伝えてやるのです。きっとお子さんは励みを得ると思います。
つぎに「小学生(中学生)(高校生)のうちは勉強しないといけないと思うから」という理由は、どの学年段階でもほぼ同じぐらいの数値を示しています。しかも、勉強に向かう動機としてトップランクに位置づけられます。「勉強はしなくてはいけないもの。必要なもの」という意識は、どの年代の子どもにもあるのですね。その昔、筆者はわが息子に、「お前は仕事をしてお金を得る心配はしなくてよい。その代わりに、お前のすべき仕事は勉強だ。仕事をするための準備が勉強なんだからね」と伝えたことを思い出します。あまり効果はありませんでした。すでに自覚しているのに、親からそんなことを言われたら子どもは説教臭く感じてしまうでしょう。だから逆効果を招いたのかもしれません。今更ですが、反省しています。
「勉強しないと頭が悪くなるから」という理由は、小中学生よりも高校生の数値が低いのが気になります。すでに自分の能力の限界を感じており、「今さら」と思ってしまうのでしょうか。どの年齢期の子どもにしろ、こういったネガティブな考えではなく、自己向上心にもとづく学びを実現してほしいものです。児童期の子どもには、親子一緒に考えたり調べたりする機会を多く設け、疑問を解決する喜びや楽しさを子どもに味わわせてやりましょう。知識を拡充していけばいくほど未知の事柄への探求心が強まり、以前の自分よりも物知りになることを、子どもに実感させてやりましょう。
賞罰(ほめられる・叱られるなど)が勉強の動機になるのは概ね小学生までです。特に児童期前半までの子どもには大いに効果があります。このタイミングをうまく生かしたいですね。ただし、ほめられるほうが効果的だということも念頭に置いておきたいところです。「おとうさんに叱られて目が覚めた」と、発奮する子どもは大概男の子です。また、それはおとうさんを尊敬し、信頼している(親がなぜ厳しいのかを分かっている)場合に限ります。もしも子どもがおとうさんの日頃のふるまいを批判的な目で見ていたなら、逆効果を招く恐れもあるでしょう(ひと言多かったかもしれません。ご容赦を)。
ライバルとなる友人に恵まれるとやる気が高まるのは、どの年齢段階の子どもにも言えることのようです。ただし、なかなかそういう機会に恵まれるケースが少ないことが、この資料の結果からもうかがえますね。ただし、弊社のような進学塾は、その点恵まれています。目の前によい手本がたくさんいるのですから。この環境が大いに作用することを願っています。
進学目標を達成したいという意欲が勉強の動機になる。これを多くの保護者が望んでおられます。ただし、中学受験の場合は小学生が受験生ですから、先を見通しそれを励みに勉強に向かうということは難しいのが現実です。将来的な観点よりも、その学校の建物や行事を見る、先輩のふるまいを見るなど、学校の魅力に直接触れる体験をさせ、子ども目線での憧れや目標を見つけさせるとよいのではないでしょうか。
最後の項目ですが、さすがに高校生のポイントが高くなっています。ですが、高校生の段階で「つきたい仕事につく」ことを励みに勉強に打ち込む子どもがこんなにも多いのには驚きました。少し冷めた見かたになるかも知れませんが、「まあそう」と回答した子どもが多かったのかもしれません。ともあれ、小学生にしても6割の子どもが「とてもそう」もしくは「まあそう」と回答しています。親子で、将来のことについて話し合う、子どもに将来の夢を語らせる。そういった機会をときどきつくるとよいのかもしれません。これは、どちらかというとおとうさんに期待したい役割ですね。
以上、駆け足で見てきましたが、「わが子にもっとがんばってほしい」と願っておられる保護者の方々の参考になれば幸いです。勉強に向かう姿勢の向上も、毎日の親の関わりの積み重ねによって随分変わってきます。現状を嘆いておられる保護者がもしおられれば、もう一度これまでの関わりを振り返り、「今からわが子のためにがんばってみよう!」と奮起していただければ嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。
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4月 9th, 2022
いよいよ小学校の新学期が始まりました。進学塾は、中学校の入学試験の実施時期を視野に入れ、早々と2月頃に新年度の講座を開講します。ですが、学校が新学期を迎えてこそ、学習塾や子どもたちの雰囲気も新しい年度の様相を呈してくるものです。会員児童のみなさんには、「一つ上の学年になったのだ」という実感を胸に、これまでよりも引き締まった気持ちで勉強に向かっていただきたいですね。
さて、弊社は昨年11月に「オンライン‟親子”セミナー」と銘打った新しい催しを開催しました。内容は、広島の代表的な男女の私立一貫校である広島学院とノートルダム清心の魅力をいくつかの視点に立ってご紹介するもので、「学校をより深く知る」「受験生の意識を高める」ことが主な目的でした。昨年は、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、学校説明会の開催を断念された学校が出てきました。それも私学を代表する有力校でしたので、「学習塾として何かできないか」と思ったのが催しを開催するきっかけでした。
ただし初めての試みであり、急ごしらえかつ手探りの状態でしたので、「広島学院」と「ノートルダム清心」の2校に絞っての開催としました。また、そのような事情もありましたので、弊社の会員家庭のみを対象とすることにいたしました。告知をすると、受付初日すぐに予定していた数の申し込み数を超えました。そのため、急遽定員を増やすこととなりました(両校ともに約200家庭が申し込まれました)。
不安を抱えての実施でしたが、先生がたが十分な準備をしてよい話をしてくださったおかげで、好評をいただきました。また、「もっと多くの学校の紹介を」「公立の一貫校もやってほしい」などの声も多数いただきました。そこで、今年はできる限り多くの学校をご紹介することにしました。ただし、まだ催しとしての見通しが確定していませんので、当分は会員家庭のみを対象として実施する予定です。ご了承ください。
今年の第一弾は、「広島市立広島中等教育学校」です。みなさん、この学校のことをご存知ですか? 広島市安佐北区の桐陽台という団地の一角にある、完全6か年一貫教育を実践する公立学校です。公立一貫校というと、中学だけでなく高校からも募集する「併設型(県立広島中学校 同高等学校など)」と、中学校からのみ募集する「中等教育学校」が主要な形態です。今回ご紹介するのは後者ですが、同校はもともと広島市立安佐北高等学校でした。それが併設型一貫校の広島市立安佐北中学校・高等学校に衣替えされました。そしてさらに、平成26年度から広島市立広島中等教育学校に変わりました。この学校がまだ十分一般に認知されていない理由の一つもそのあたりにあるのだと思います。
筆者の住まいはこの学校の近隣にあり、学校の変遷を目の当たりにしてきました。すばらしい学校になりつつあります。生徒さんの立ち居振る舞いや学校の雰囲気を見れば一目瞭然です。放課後の時間帯に、同校の校舎や校庭が見渡せる道路を歩いていると、スポーツ系の部活の活気ある練習風景が目に入ったり、ブラスバンドの元気な演奏練習の音を耳にしたりします。本催しを通じて同校に興味をもたれたなら、ぜひ一度学校を実際に見に行ってみていただきたいですね。今回の催しが、同校のすばらしさにふれるよい機会になることを願っています。
どの中学校に縁ができるか。今の段階では誰にもわかりません。だからこそ、今のうちに進路として候補となり得る学校の特徴やよさに触れておくべきではないでしょうか。最終的にどの中学校にするか迷ったとき、事前に入手している情報があると大いに役立ちます。
私立か、公立か、それとも国立か。中高一貫の学校はいろいろ選べます。ぜひ今回のセミナーに参加いただき、お子さんと一緒に広島中等教育学校という完全6か年一貫の公立学校の魅力を発見してください。
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