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2年生の今月の本


みしのたくかにと タイトル みしのたくかにと
著者 松岡 享子
出版社 こぐま社
 

むかし、あるところに、ふとっちょのおばさんが住んでいました。ある日、おばさんが台所を掃除していますと、戸棚のすみから、黒い小さい種が一粒でてきました。

 何の種か分からないけれど、まあ、庭にまいてみよう。そしておばさんは、板切れに
「朝顔かもしれない すいかかもしれない とにかくたのしみ」
と書いて、種のそばに立てました。まもなく種は芽を出し、日増しに大きくなりました。できたのはおいしそうなかぼちゃでした。

  さて、ふとっちょおばさんの家の前を、きまって一台の馬車が通りました。馬車の窓にぴったり顔をつけて、一生懸命外を見ている小さな男の子が見えます。それは、この国の王子さまでした。王子さまは、まだほんの子どもながら、大変物知りでした。王様の考えで大勢の先生が雇われ、王子さまは一日中お城の中で勉強していたのです。このごろの王子さまの楽しみといえば、馬車に乗ってお城の外へ出ることだけでした。

  ある日、王子さまの馬車がふとっちょおばさんの家の前を通りかかったとき、王子さまは庭のすみの立てふだに気がつきました。
「いなれしもかおがさあ、いなれしもかかいす、みしのたくかにと」

  へんなのと、王子さまは思いました。そうです、だって王子さまは反対に読んでいたのですから。それから何日かたったある日のこと……。

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