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1年生の今月の本


さびしいは さびしくない タイトル さびしいは さびしくない
著者 内田 麟太郎
出版社 教育画劇
 

 「はやいぞ、ひゃっほー」
 クマとウサギは、坂道を自転車で下っていきます。キーッ! ふたりはブレーキを踏みました。タヌキがしょんぼり遠くを見ています。
「この山のタヌキじゃないね」
「いじめられて、どっかの山から逃げてきたようだな」
 クマは、タヌキのかじられている耳を見つめました。

  ウサギは、丘を登っていきました。
「タヌキさん。いっしょにあそぼう」
 ところが……。
「おれは、べたべたするやつはだいきらいだ!」
 タヌキはどなりかえしてきました。
「タヌキさんは友だちがほしくないの?」
「ああ、ともだちなんかほしくない」
「それで、さびしくはないの?」
「さびしくなんかない!」

 ウサギは、タヌキのことばをくりかえしながら丘をおりていきました。
(さびしくなんかない!  さびしくなんかない! さびしくなんかない!)
 でも、ウサギは何度くりかえしても、タヌキの声が、
(さびしい、さびしい、さびしい)
と聞こえました。
(どうして反対に聞こえるんだろう?)

 ウサギの話を聞いたクマは、今度は自分がタヌキを誘いに行きました。でも、返ってくる答えは同じ。
「大丈夫だ。明日は友だちになれる」
  クマは、心配そうな目をしているウサギの肩をたたきました。
 そして、次の日、ふたりはタヌキと友だちになるためのある作戦を決行したのです。

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