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1年生の今月の本


なんにもしないいちにち タイトル なんにもしないいちにち
著者 仁科 幸子
出版社 フレーベル館
 

「ハリネズミ、さんぽにいかないか?」

  ヤマネが声をかけました。しかし、ハリネズミは、草の上にねころんだまま動こうとしません。

「やあ、小さなおとなりさん。わるいけど今日は“なんにもしない一日”なんだよ」
「なんにもしない一日?」
「そうさ。だって考えてもみてごらんよ。ぼくたちはいつもいそがしすぎる。だからこうして、なんにもしない一日があるのもいいだろう」
「まったくそのとおりだ。ぼくも今日はなんにもしない一日にきめた」
 そういって小さなおとなりさんもハリネズミの横にねころびました。

「ねえ、今日はなんにもしない一日なんだから、ぼくに話しかけちゃだめだよ」
「まったくそうだ。今日はきみに話しかけないよ」
 きもちのいい風が、ふたりのはなをくすぎりました。

「あのさ、風がとってもきもちいいとか、話しかけちゃいけないよ。わかってるよね」
「まったくだ。ぼくも、もう少しで、きもちのいい風だね、はながくすぐったいよって、きみに言うところだったよ」

●こうしてふたりはだまった草の上に寝転んでいるのですが、だんだんとだまっているのが苦しくなってきます。この本には、この他に5つのお話がありますが、どのお話もヤマネとハリネズミのほのぼのとしたやりとりがかわいらしいです。

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