「いってきまーす！」

　ふうたんは、いつものようにげんきよくうちをでました。でもそれは、ほんのはじめだけ。きょうは、うんどうかい。かけっこがきらいなふうたんは、あまりがっこうにいきたくないのです。

　 そらには、しろいくもがひとつ、ゆっくりぽっかりながれていきます。うんどうかいがなかったら、こんなひは、どんなにいいきもちでしょう。
「ほんとうはぼく、あのくもみたいに、ゆっくりとあるくのがすきなんだ」
と、ふうたんがぶつぶつひとりごとをいうと、
「あたしもよ」
というげんきなこえがして、めのまえに、うさぎがたっていました。

「あたしも、くもみたいに、ゆっくりあるくの、だーいすき。でも、かけっこもおとくいよ」
「いいなあ。ぼくは、かけっこがだいきらいなんだ」
ふうたんがいうと、
「じゃあ、いいことをおしえてあげようか。かけっこがすきになる、ひ、み、つ！」
……