あるにちようびのこと、まちはずれの、わかくてうでのいいはいしゃさんのところに、ちいさなちいさな、かんじゃさんがきました。それはなんと、一ぴきのねずみです。

「せんせい、おねがいします。」
　そういって、ねずみは、しんりょうしつのほうへあるきだしました。
「おいおい、きょうはこまるんだよ。きょうは、にちようびでおやすみなんだ。」
　けれども、ねずみは、さっさとしんりょうしつのいすによじのぼって、ぱくっとくちをあけたのです。

　 それをみると、はいしゃさんは、ついいつものくせで、
「むしばですか。」
ときいてしまいました。
「はい。いときりばが、いたむんです。わたし、あまいものがだいすきで、おまんじゅうなんかたくさんたべました。それはもう、じぶんがわるいのですから、しかたありません。でもね……。」
　ねずみのめに、なみだがもりあがってきました。
「このいときりばがだめになったら、もうしごとができなくなるんです。わたしは、八ひきのこねずみをかかえて、ぬいもののしごとをしているんです。ねえ、せんせい、なんとかならないでしょうか……。」