トップページ > 読書案内 >  1年生の今月の本 > 1年生におすすめの本
 > キノシタキノコさん

1年生の今月の本


キノシタキノコさん タイトル キノシタキノコさん
著者 小薗江 圭子
出版社 PHP研究所
 

 うちのおばあちゃんは、このごろ、いろんなことをわすれる。
「きょうは、なにようび?」
と、あさからなんどもぼくにきいて、なんどおしえてあげても、わすれちゃう。でかけるときは、ぼうしをかぶり、
「ぼうしは、どこだったかしらね。」
と、さがしている。

  ある、どようびのことだった。さんぽにいったおばあちゃんが、いつまでたってもかえらない。おとうさんとおかあさんとぼくは、なんどもきんじょをさがした。おまわりさんにもききにいったけど、おばあちゃんはみつからない。よるになっても、かえらない。

 おとうさんとおかあさんは、そのよる、ねないでおばあちゃんをまったけれど、あさになってもかえらない。ぼくたちは、またおばあちゃんをさがしてまわった。おかあさんが、
「おばあちゃん、なにかじけんにまきこまれたんじゃないかしら。」
と、しくしくなきだしたとき、げんかんに
「ただいま」
って、おばあちゃんのこえがした。

  おばあちゃんは、
「はい、おみやげ」
と、おまんじゅうみたいなキノコがはいったかごを、ぼくにくれた。
「とにかく、おなかがすいたでしょう。」
とおかあさんが、だいどころへいきかけると、おばあちゃん、
「いいえ。おなかいっぱい。キノシタさんにごちそうになったから」
「キノシタさん??」

●どうやら、おばあちゃんは、くろいぼうしをかぶった“キノシタキノコ”というおばあさんのおうちにいっていたようです。おばあちゃんがいうには、しろいちいさいヘリコプターにのせてもらってその人のおうちにいったらしいのです。おみやげのきのこも、その人にもらったというのですが……。

Page Top