「つねお。きのうから、せきばっかりしてるでしょ。かぜは、まんびょうのもと。さかもとせんせいにみてもらいなさい。」

　ひろくんたちと、サッカーをやろうとやくそくしてたのに、ぼくは、びょういんにいくことになった。

　おかあさんは、せんえんさつとしんさつけんをぼくのポケットにおしこみ、おおきなマスクをかけさせた。
「ちえっ、かっこわるいなあ。」

　さかもといいんまで、あるいて１５ふん。１じかんもあればかえってこれる。ようし、それなら、まだサッカーにまにあうかもしれないぞ！　ぼくは、りょうてをポケットにつっこんで、ほどうのコンクリートをけってはしりだした。
「いそがなくちゃ。コンコンコン！コンコンコーン！」

　すると、
「おい！」
　きゅうによびとめられた。ふりむくと、おなじいろのけいとのぼうしをかぶり、おなじマスクをかけているおとこのこが、たっていた。そのこは、キョロキョロとあたりをみまわすと、ぼくのそでをひっぱって、ポストのかげにつれていった。そして、ヒソヒソごえでいった。
「おまえさあ、コンコンコンは、まずいよ。ここはにんげんのくにだぜ。ばれちゃったら、どうするのさぁ。そりゃあ、コンコンなきたいきもちは、おいらにもよーくわかるよ。でも、ここじゃだめだ。」