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1年生の今月の本


かいとうドチドチ びじゅつかんへいく タイトル かいとうドチドチ びじゅつかんへいく
著者 柏葉 幸子(作) ふくだ じゅんこ(絵)
出版社 日本標準
 

 ドチドチは、むかし、かいとうドチドチとよばれたどろぼうでした。でも、ふつうのどろぼうではありません。ドチドチは、「とりかえっこどろぼう」だったのです。

 なにかをぬすむと、そのかわりに、じぶんのくつ下をぬいでおいてきます。くつ下には、『かいとうドチドチさんじょう』とあみこまれていて、その中には、ドチドチからのプレゼントが入っています。プレゼントは、もらう人がほしかったものばかりです。だからみんな、ドチドチが来てくれないかと、まっています。

 でも、ドチドチはどろぼうをやめました。なぜって、太りすぎてしまったからです。太りすぎて、にげるときに走れません。足音だって、ドチ、ドチ、とひびきます。だからドチドチは、今は、魚をつったり、畑をたがやしたりして、くらしているのです。

 そんなある日、びじゅつかんで、『五人のてんし』という絵のてんしが一人、ぬすまれてしまいました。みんなが口々に言いました。

「こんなことできるのは、かいとうドチドチぐらいだ。」
「みんなのものなのに、ぬすんでしまうなんて、ひどいわ。」
 それをきいたドチドチはおこりました。ドチドチはもう、どろぼうをやめているのです。

●普通のどろぼうとはちょっと違う、かいとうドチドチ。何かを盗むかわりに、盗んだ家の人が欲しかったものをプレゼントしてくれるなんて、ほんとに変わったどろぼうですね。お子さんと一緒に「もし、ドチドチがうちに来たら……」なんて想像を膨らませてみるのも楽しいでしょう。

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