トップページ > 読書案内 >  1年生の今月の本 > 1年生におすすめの本
 > 耳かきのすきな王さま

1年生の今月の本


耳かきのすきな王さま タイトル 耳かきのすきな王さま
著者 小薗江 圭子(作) 阿部 肇(絵)
出版社 講談社
 

耳かきで、ひとの耳を かくのが だいすきな、王さまが いました。王さまの 耳かきは 金ぴかで、かざりに ほうせきが ついて、きらきらしています。あさおきると、きょうの ようふくを もってきた いしょうがかりの けらいの耳を、コソコソ、カサカサ。きがえがすむと、しょくじがかりの けらいの耳を コソコソ、カサカサとかきます。さんぽに でかけるときも、だいじな かいぎの さいちゅうでも、耳かきを もっていき、コソコソ、カサカサとかきます。大きな 耳あかが とれると、王さまは まんぞくします。「いい耳だ。ほうびを とらせよう」とよろこびました。
でも、このごろ、ほうびを もらうひとは、めったに いなくなりました。あんまり 耳を かかれるので、耳あかの たまるひまが ないのです。耳あかが とれないと、王さまは きげんが わるくなって、「わるい耳だ。わるいやつだ」と、ぎゅうぎゅう 耳を ひっぱって、からっぽの 耳を かきました。ゴリゴリ、ガリガリ。ガリガリ、ゴリゴリ。すると、とうとう、どのけらいの耳も、おくに あなが あいてしまいました。左の耳から、右の耳をとおして、むこうが 見えてしまうのです。そして、左の耳から はいった こえも、すうっと 右の耳の そとに ぬけだしてしまいますから、けらいたちは、なにを きいても、すぐに わすれてしまうようになりました。

●いくら人の耳をかくのが好きといっても、穴が開いてしまうほど……とは、王さま、ちょっとやりすぎかもしれませんね。聞いたことを片っ端から忘れてしまうことを、“右の耳から左の耳”とたとえることがありますが、家来たちは命令を何でもすぐに忘れてしまうので、王さまのまわりは大騒動! ハプニングの連続です。

Page Top