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1年生の今月の本


しゃもじいさん タイトル しゃもじいさん
著者 かとう まふみ(作)
出版社 あかね書房
 

 しゃもじいさんは、しゃもじの おじいさん。すみなれた だいどころを はなれて、ひとりで たびにでました。しゃもじいさんは、はたらきものでした。あつあつの ごはんを、いままで なんど よそったことでしょう。ところが、ながく はたらいて ふるびてきて、ちかごろは めっきり しごとが なくなりました。「わしは まだまだ はたらける。どこかで わしを つかってくれるところが あるはずじゃ」
 しゃもじいさんが あるいていくと、おちゃわんと おさらが ないていました。「あたしたち、かけちゃった。あぶないから、すてるって いわれたの」「だいじょうぶ。きっと、わしらを つかってくれるところが あるはずじゃ。いっしょに さがしにいこう」
 さんにんで あるいていくと、いす、なべ、ほうき、ほうちょうなど、いくつもの ゆきばのない どうぐに であいました。しゃもじいさんたちは、いえいえを いっけん いっけん のぞいて、つかってくれるところを さがしましたが、どのいえも たくさんの もので あふれていて、あたらしい いばしょは どこにもありません。
 とうとう、まちはずれの ちいさな てらに たどりつきました。しゃもじいさんは、さいごの のぞみを かけて たのみました。「どうか ここで つかって もらえないでしょうか」すると、てらの おしょうさんが、いいました。「……あ〜すまんが、ほかをあたってくだされ」そして――ちいさな こえで ぼそっと いいました。「こんな こわれた きたないモノ、つかえんわい……」それを きいた どうぐたちの がまんの いとが プチンと きれました。

●道具たちの怒り、恨みは、みるみる膨らみ、道具たちを化け物に変えていきます。そこに現れたのは、双子の小僧さん。小僧さんの言った言葉で、道具たちの怒りが静まっていきます。小僧さんの言った言葉とは…?たくさんの物が溢れている現代。壊れたら、古くなったら、すぐ新しい物を買えばいいと思っているお子さんも多いかもしれません。物を大切にする気持ち、物に感謝する気持ちを、大人も子どもも忘れずにいたいですね。

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