暗い暗い夜でした。昨日の晩にはかすかに見えた、細い三日月も、今日はすっかり見えなくなって、月はかけらもありません。

　 暗い夜、つんたうさぎははらっぱにかけてきて、草の間に腰をおろし、くっと、空を見上げました。つんたうさぎが見上げる先は、むかいの森のすぎの木の上。昨日三日月が見えていた、ぽっかり、暗いあたりです。

「お月さま、そこにいるんでしょ？　かくれていないで出てきてよ。大事な相談があるんだよ！」

　 つんたは、小枝を二本ふりあげて、石をたたいて歌い出しました。それは 十五夜お月さんのお祭りに、うさぎがうたう歌でした。

　 つんたはとうさんに言われたのです。どうしても困った時は、お月さまに相談しなって。そして、この歌うたって、お月さまをよべば、こわいものも、よってこない。お月さまが助けてくれるって。