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1年生の今月の本


クマのたんす タイトル クマのたんす
著者 茂市 久美子
出版社 偕成社
 

 森山家具店は、百年以上続く老舗で知られています。しかし、数週間前に新しい家具店ができてから、注文がこなくなってしまいました。さらにおいうちをかけるように、店の主人がなくなってしまったのです。森山家具店に残されたのは、ひとり息子の冬樹さんだけでした。冬樹さんには、家具職人としての才能がありましたが、まだ中学を卒業したばかりでした。
 これからどうしようかとため息をついた時、冬樹さんはふと、おじいさんから聞かされた言葉を思い出しました。

「何か困ったことがあったら、あの木に向かって手をたたくように。そうすれば、きっとクマがやってきて、助けてくれるからな」

 森山家具店の仕事場には、分厚い板の切れ端のようなクリの木がまつってあります。そのクリの木には、小さなくぼみと黒いしみがあって、それは木の中で眠っていた子ぐまの跡だと伝えられていました。

「森山家具店のピンチをお救いください」

 冬樹さんは、両手をたたきました。
 それからまもなくのことです。ドアの外には何と、クマが立っていました。

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