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1年生の今月の本


ありがとうをわすれると タイトル ありがとうをわすれると
著者 山下 晴生
出版社 学研
 

 ずーっとずーっと南の海に、小さな島がありました。島には、背の高いヤシの木が一本はえていました。そして、そのヤシの木の下には、まだ若いネズミが住んでいました。

  ある朝、ネズミが外に出ると、木の上からコウモリが声をかけました。

「おはよう、ネズミくん。ゆうべはよく眠れたかね?」
「こんなに暑くて眠れるものかね。家の中は、まるで蒸し風呂だもの」
「それはおきのどく。じゃ、わしが風をおくってあげるから、しばらくそこで昼寝でもしてな」

  コウモリは、木の枝にさかさにぶら下がり、つばさをパタパタさせました。昼過ぎまでたっぷり眠って、ようやく目を覚ましたネズミは、大あくびをして言いました。
「もう、こんな時間だ。早く昼ご飯を食べに行こうっと」
「その前にネズミくん、何か言うの忘れてないかい?」
「なにかって、なによ?」
「あ、のつくものさ」
「あ、そっか。したも つかったら おいでね」

 ネズミはそう言うと、とっとと海のほうへかけ出していきました。

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