クリスマスが近づいてきました。サンタのおじいさんは、なかよしのトナカイくんとならんで、やねの上にすわって、望遠鏡をのぞいていました。いろんな子どもたちのようすをながめて、おくりものをきめるためです。

　 いい子だって、いつもいいわけではないし、わるい子だって、いつもわるいわけではありません。サンタさんは、そういうことも考えて、おくりものをえらびます。その子がほしがっているものをもっていくこともあれば、べつのものをもっていくこともあります。

「サンタさんサンタさん、レンガ通り三番地の五かいのまどを見てください。リリーが、またへんなことをやってますよ」
　サンタさんは、トナカイくんがゆびさすほうに、望遠鏡をむけました。
「……おやおや、リリーはこまった子だなあ」
　 サンタさんは、くびをふりながらいいました。

　 リリーは、まだほんの子どもでしたが、自分ではたらいて、ひとりでくらしていました。リリーのしごとは、よその家のおそうじをすることでした。ジムさんの家とメリーさんの家の二けんをそうじしていたのです。ところが……。