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1年生の今月の本


とかげのとほほ タイトル とかげのとほほ
著者 角野 栄子
出版社 ポプラ社
 

 今日は、ソラちゃんとデート。約束は、まちはずれのどて。どてにつくと、どこからかへんな歌声がきこえてきた。

「さびしいなあ。なあ なあ なあって いってもなあ、やっぱりなあ さびしいなあ」

  ぼくがびっくりしてあたりを見まわすと、小さな石の上で、リュックサックをしょって、赤いぼうしをかぶったとかげが、ハンカチでなみだをふいていた。

  とかげは、ぼくを見て、
「ぼく、とかげのトホホ、よろしくう」
って、大きな声でいった。どうやら、ぼくについてきたいみたい。そのとき、ソラちゃんがやってきた。ぼくは、あわてて、トホホをポケットにいれた。

  ぼくとソラちゃんは、歩き始めた。ぼくは、とてもうれしい。スキップしたいくらいだ。
すると、
「さびしいなあ なあ なあっていってもなあ」
って、歌う声がきこえた。トホホだ! ぼくは、おどるように手をふって、ごまかそうとしたけど遅かった。トホホったら、まねしてポケットからのりだして頭をふっている。
「きゃあーっ」
  ソラちゃんは、走っていってしまった。
 ぼくは、ポケットからトホホを出して、草の上に置いていった。
「もう、さよならだよ」
 そのとたんに、トホホのまんまるの目がうるうるになった。それを見たら、ぼくは、トホホと別れるなんてできなくなってしまったんだ。

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