かえるくんは、歌が大好きでした。けれども、仲良しのかえるちゃんが、長い間病気で寝ているので、今日もおみまいにやってきました。
「かえるちゃん、気分はどう？」
「ありがとう。少しよくなったみたいよ」
「よかった。夕方には薬と食べ物を持ってきてあげるからね。」
「いつもありがとう、かえるくん」
　 かえるちゃんは、にっこり笑います。

　 しかし、かえるくんは貧乏なので、お金がありません。

　 街角で歌を歌ってお金をもらうとするのですが、聴いてくれるひとはだれもいません。がっかりしたかえるくんは、皿洗いの仕事を見つけました。けれども、失敗して、すぐにやめなければならなくなりました。

　 そこでかえるくんは、持っていた大切なギターを売って、そのお金で少しの薬と食べものを買いました。
「かえるちゃん、薬と食べ物を持ってきたよ」
「いつもありがとう。でも私はかえるくんの歌を聴くのが一番嬉しいわ。あら、いつものギターはどうしたの？」
「うん、ち、ちょっと、こわれて、今直してるんだ」

　 かえるくんは、かえるちゃんに心配をかけたくなくて、うそを言いました。