秋の終わりのある日、のうさぎのホップは、池で真っ白な帆をつけた赤いヨットをみつけました。『かもめごう』と書いてあります。
「こういう船にのって、冒険にいきたいなぁ」
　ホップは、世界一大きなクジラをさがす旅に出ている自分を思い浮かべて、うっとりしました。

　 ふと見ると、船底に『もぐらのモル』と書いてあります。
「モルのだったのか」
ホップはモルの家へ『かもめごう』を返しにいきましたが、モルはもう冬眠をしていました。ホップは、春になるまで、『かもめごう』をあずかっておくことにしました。

　ホップは、長い冬の間、少しもたいくつしませんでした。『かもめごう』でたくさん冒険の旅にでたからです。

　 しかし、だんだん春は近づいてきました。
「ああ、『かもめごう』をかえしたくないなぁ」
　 ホップはそう思っていました。