あなたは、大きくなったら何になりたい？
　なつかは、大きくなったら、うさぎになりたい、と思っている女の子です。

「キャベツの葉っぱの上で寝て、朝起きたらキャベツを食べるでしょ。だから、おりょうりだってしなくていいし。いつもおんなじ毛皮だから、お洗濯だってしなくていいんだよ」

　 なつかは、両手で耳を上の方にひっぱりながら、もう長い耳になったつもりで、はねながら朝ごはんを食べにいきました。朝ごはんは、目玉焼き、ソーセージ、クロワッサンに、レタスサラダ。なつかはレタスが嫌いです。
「レタス、残しちゃだめだよね？」
　 なつかは、小さい声でおかあさんに聞きました。
「だめですよ」

　 なつかは、じいっとレタスをながめました。そのとき、すてきなことを思いつきました。
「うさぎはレタスが大好きでしょ。それって、たぶん、うさぎの食べ方をすれば、レタスだっておいしくなるってことなんじゃないかな？」

　 なつかは、さっそく、レタスを両手でもって、パリパリ、パリパリと忙しそうにかんでみました。