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1年生の今月の本


うほ・うほ・ほ! タイトル うほ・うほ・ほ!
著者 岸川 悦子
出版社 大日本図書
 

「こら! つよし! まちなさい。」
 ママのおこる声がとんできた。
「いやだよーだ! りょうた、どけ。」 お兄ちゃんが、ぼくをつきとばして、二だんベッドにかけあがった。
 わあー、おにいちゃん、たいへん。シャツもズボンもどろだらけ。
「こらー!」
 ほら、ママかいじゅうが、お兄ちゃんをつかまえておふろばにつれていっちゃった。おにいちゃんがママにしかられるたびに、ぼくの体はこちこちになる。
「りょうちゃんは、いい子でいてね。ママつかれちゃう。」
 そして心の中で、ぼくはいい子になろうときめた。

 ぼくは、ママと手をつないで、ようち園に行った。
 ようち園の門の前で、ママとさよならしてかけてったら、けんちゃんと、ごんたくんがすなばで遊んでいた。けんちゃんが、すなばに大きなあなをほった。ごんたくんが、あなに水をいれて、はだしになってぴちゃぴちゃしてた。
「ああー、いけないんだよ。」
 ぼくは、ママがいつもおにいちゃんにいうように言ってあげたのに、けんちゃんたら、
「ふうんだ、いいんだもん。」
だって。
「ママにおこられるよ。」
「おこられないもんねぇーだ。なっ、海つくるんだもんね。」
(いいなー、ぼくも海つくりたいな。)
 だけどそのとき、
(りょうちゃんは、いい子でいてね。ママつかれちゃう) 
っていってたママのためいきが聞こえてきた。

  そうだ、ぼくはいい子だから、どろんこ遊びしちゃあいけないんだ。でもなんだか心の中がもぞもぞする……。

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