トップページ > 読書案内 >  1年生の今月の本 > 1年生におすすめの本
 > かもとりごんべえ
天にのぼったげんごろう

1年生の今月の本


かもとりごんべえ<br>
天にのぼったげんごろう タイトル かもとりごんべえ
天にのぼったげんごろう
著者 大石 真
出版社 偕成社
 

 むかし、むかし、あるところに、ごんべえという男がいました。冬になると、近くの沼でかもをとり、それを売って暮らしていました。
 ある時、ごんべえは考えました。
「うちは昔からかもとりを商売にしている。おやじは、いつもおれに言ってたっけ。『かもは一日に一羽しかとってはいかんぞ。』って。でも、考えてみると、こんなばかなことはない。一日に十羽とれば、九日間は寒い思いをしないで遊んでいられる。一日に百羽とれば、冬中遊んでいられる」
 そこで、ごんべえは、さっそく百のわなをこしらえることにしました。

 さて、わなをしかけた次の朝、胸をわくわくさせながら沼に来て、ごんべえはびっくりしました。沼の中は、わなにかかったかもでいっぱい。
「しめた! すごい数だ」
 ごんべえが数えてみると、なんと、全部で九十九羽もかかっています。
「もう一羽で百羽だ、のこっているわなにも、かもがかかりますように」
 ごんべは、虫のいいことを考えて、かものかかるのを待ってしました。
 ちょうどそのとき、東の山からお日様が出て、凍った沼の水がぴかぴか光りました。するとその光に驚いたかもたちは、羽をばたばたふって、飛び立とうとしました。

  九十九羽のかもが、一斉に飛び立とうとしたのだから大変。わなのつなをにぎっていたごんべえは、ずるずるとひきずられます。
「しずまれ。しずまれ」
とさけぶごんべえは、すっと空に引き上げられてしまいました。

Page Top