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1年生の今月の本


きたかぜどおりのおじいさん タイトル きたかぜどおりのおじいさん
著者 杉 みき子
出版社 PHP研究所
 

「ゆみちゃん、バイバーイ」
「またあしたね」
 校門を出ると、トモダチはみんな右へ、 私はひとりで左へ曲がる。橋をわたると、雪で真っ白な畑が続く。両側に家が一つもないから、風が思う存分吹き抜けていく。だから、みんな、この通りを<きたかぜどおり>って読んでるの。

  ひゅるるるるっ。
 ほら、風がおっかけてきた。私は下を向いて、息をつめて、一本道のきたかぜどおりをかけていく。

  あ、むこうから、だれかきたわ。でもわたしは、構わずかけていく。むこうが大人だったら大抵道をよけてくれるもの。

  ほら、よけてくれた。道端の深い雪に足をふみこんで。わたしは、さっとそのわきをかける。そしたら、突然、大きな声で呼び止められた。
「こら、こら。ゆずってもらったら、<ありがとう>くらい、いうもんだ」

  ふりむくと、かさをかぶったおじいさんが、こわい顔でにらんでる。 わたしは、びっくりして、何もいえないまま、走って逃げてしまった。

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