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2年生の今月の本


三びきのごきげんなライオン タイトル 三びきのごきげんなライオン
著者 ルイーズ・ファティオ
出版社 童話館出版
 

 フランスの小さなまちの動物園に、一ぴきのごきげんなライオンがいました。それから二ひきのごきげんなライオンになりました。そうです。おくさんができたのです。二ひきだと、一ぴきよりも、もっとごきげん。

 また、それから……ある日……三びきのごきげんなライオンになりました。三びき目はかわいくてやんちゃなライオンのぼうやです。三びきだと、二ひきよりも、もっとごきげん。

 けれど、だれよりも喜んだのは、飼育係のむすこのフランソワくんです。フランソワくんは、ライオンのおとうさんとおかあさんの一番の友だちでしたから。そういうわけで、ライオンのぼうやには、フランソワくんと同じ名前がつけられました。

 そんな、ある日のこと。ごきげんなライオンは、うまれてはじめて、何やら思案顔です。それは、父親としてのなやみでした。
「むすこのフランソワは、将来何になったら幸せだろうか? きみはどう思うね?」
と、ごきげんなライオンは奥さんに言いました。
「だれかのうちでかわいがってもらうのは、どうかしら? フランソワったら、それはもう育ちがいいんですもの、ぴったりですわ」
とおくさん。
「それにしても」
と、ごきげんなライオンは、ためいきをつきました。
「ライオンむきの仕事は、本当に少ないものだな。わたしに言わせれば、世の中が間違っているんだ。ライオンは賢いんだから、やろうと思う仕事はやれるもんなんだよ」

 ごきげんなライオンが、まだあれこれ思い悩んでいたときのことです。毛皮のえりまきに、金のネックレスをしたお金持ちのご婦人が、動物園にやってきました。
「まあ、なんてかわいいライオンちゃん! ペットにいただいてよろしいかしら?」
 こうして、フランソワは、このご婦人にもらわれていきました。ごきげんなライオンとおくさんは、涙がいくすじか、ほおをつたわりおちました。けれど、遅かれ早かれ、ぼうやがひとり立ちするには、ちょうどよい頃合だったのです。

●こうしてフランソワは、ご婦人の家で暮らすことになりました。そこでの暮らしは申し分のないものでした。フランソワは、ふっくらとたくましく育ち、どんどん大きくなりました。でも、大きくなりすぎたのです。ご婦人は言いました。
「もう、あなたをペットにしておくことはできないわ。わたしの知り合いのダンブールさんのところへ行ってもらうことにします」
 ダンブールさんのところ……、そこはサーカスでした。

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