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2年生の今月の本


あくまのりんご タイトル あくまのりんご
著者 ふなざき よしひこ
出版社 秋書房
 

 こがらしのふきつけるこうやを、一人の年おいた男が、うなだれてあるいていました。男は、あくまでした。けれど、このあくまがまほうをつかうことができたのは、もうずっとむかしのこと。いまは、すっかり力もなくなって、どこへゆくあてもなく、一人さすらいのたびに出ていたのです。

「ああ……。はらがへったなあ。」
  あくまは、つぶやきました。

  そのとき、つむじかぜのむこうから、人かげがあらわれました。ジプシーの少女でした。少女は、あくまにかけよってきます。
「おじさん! あたしのかあさんをしらない? はぐれちゃったの……。」
「しらんねえ。見なかった。」
「……どうしよう。」
  少女は、なみだをこぼしました。
「じゃ、おじさんが、かあさんをさがしてやろう。」

  けれど、そのことばは、ほんとうは『すきをみて、おまえを食べてやろう』といういみだったのです!

●おなかをすかせていた悪魔は、思わぬところで“食料”に出会いました。しかし、悪魔には 「この子はきっと、母親と二人、くらしやすい土地を求めてたびに出たにちがいない。この子はおれとおんなじだ。こんな子をとって食うなんて、おれにはとても……。」という心がめばえてしまいます……。

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