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2年生の今月の本


月夜の野ウサギ タイトル 月夜の野ウサギ
著者 金田 喜兵衞(作) 狩野 ふきこ(絵)
出版社 ひくまの出版
 

「うわっ」
 ぼくは大声を出しそうになりました。目の前の草むらから、ウサギの子どもがよちよちと出てきたかと思うと、子ウサギをおいかけて大きなヘビがするっとあらわれたのです。
「お父さーん!」
 ぼくはおもわず子ウサギをだきあげ、むちゅうでさけびました・・・・・・!

――このとき、山でヘビからたすけた野ウサギの子。ぼくの手の中で、黒い目をパチッとあけていますが、まだ、ぶるぶるふるえています。ぼくはおもいきってききました。
「ねえ、お父さん、うちでかっていい?」
「なに、うちでかう? だめだ、野ウサギをかうのは、むずかしいというぞ。死んだらかわいそうだ。にがしてやれ。」
「だって、いまここでにがすと、またさっきの大ヘビにねらわれるよ。」
「それなら、どこかべつのところで、にがしてやったらどうだ。」
「でも、そうすると、子ウサギは、お母さんのところへ、かえれなくなるよ。ねえ、ぜったい死なないようにするから、うちでかわせて。」

 ぼくが、いっしょうけんめいにそういうと、お父さんはしばらく考えこんでから、おもいきったようにいいました。
「よしっ、おまえがそんなにいうのなら、うちでかうか。」
 こうして、この野ウサギの子をうちでかうことになったのです。これが「みみくろ」でした。

●山で見つけた野ウサギをかうことになったぼく。けれども、世話はなかなかうまくいきません・・・・・・。「野ウサギを飼っていても月夜の晩にいなくなる」「お月さまが、野ウサギを連れて行ってしまう」などといったある土地の言い伝えをもとにした、野性と人間との関わりあいの厳しさ、また、心のふれあいを幻想的に描いた作品です。

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