えき前の商店がいのうら手にあるキツネのかぎやは、小さな店ですが、けっこうはんじょうしています。今日もキツネは、５けんの家をまわってきました。そのうち、３げんは、げんかんのかぎをあたらしいものにつけかえ、１けんは、こわれたドアのかぎを直してきました。さいごの１けんは、しりあいのこうちょう先生の家で、夕ごはんをごちそうになりながら、いろいろとかぎの話をしてきたのです。キツネが店にもどってきたのは、夜もおそくなってからでした。
「やれやれ、つかれた。」
　キツネは店をしめると、ベッドによこになり、そのままねてしまいました。

　 そして、夜の１２時をすぎたころ、とつぜん電話がなりました。キツネがとび起きてじゅ話きをとると、
「家に帰ったら、げんかんのかぎをどっかにおとしちゃったみたいでねえ、中に入れねえんだ。すぐ来て、あけてくれないかねえ。」
と、よっぱらったみたいな男のこえがしました。