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2年生の今月の本


なんてだじゃれなお正月 タイトル なんてだじゃれなお正月
著者 石崎 洋司(作) 澤野 秋文(絵)
出版社 講談社
 

 今日は十二月二十八日。あたしは、ママに買い物をたのまれて、北風ぴーぷーふいている、神社のけいだいを、ひとり、とぼとぼ。だいたい、門松(かどまつ)って、お正月にあれば、いいんでしょ? 早すぎじゃない?「ぜんぜん、早くないよ。門松をかざるなら、二十八日か、三十日だからね」だれかの声にあわてて、ふりかえると、そこには一年生ぐらいの男の子が立っていた。まんまるのお顔に、いがぐり頭。「二十九日はだめ。『九』の字は『苦』につながるから、縁起(えんぎ)が悪いんだよ。だから、おねえちゃん、早く、門松買ってよ。おいら、住むところに、こまるんだよね」あれ? 『苦(く)松(まつ)』ってなんか、だじゃれっぽくない? それに、なんなの、この、なれなれしさ。あ、わかった。お店の子が早く買わせようっていう、さくせんなんだよ。
 さて、おおみそかの夜。あたしは、ずいぶん早く目がさめちゃった。とにかく、ちょっとトイレへ。まっ暗なろうかを出て、トイレのドアを開けると、白い着物を着た女の人があたしをにらんでいた。まさか、ゆうれい……。「あれは、『かわや神』だよ、おねえちゃん。輪かざりをトイレにかざらなかったから、おこって、化けてでてきたんだよ」ぎょっとしてふりかえると、またあのちっちゃな男の子。このあいだとはちがって、神社の神主(かんぬし)さんみたいなかっこうをしている。いま、夜中だよ。どうして、あたしのおうちに? あっけにとられるあたしをよそに、男の子はあたしの手にわらで作った輪っかをおしつけた。

●いがぐり頭の男の子のは、門松に宿る年神さまだと名乗ります。お正月が終わるまで、さくらちゃんの門松に住んで、お正月についていろいろ教えてくれるのだそう。おせち料理に、初夢、書初め、お年玉……。お正月の行事の一つひとつには意味が込められています。それらは、実はだじゃれっぽいことがけっこう多いんです。楽しみながらお正月のことに詳しくなれますよ。

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