春休みがおわって今日から三年生だ。はりきって学校にきたのにがっかり。クラスがえで、なかよしのみきちゃんとべつべつのクラスになってしまったのだ。「サイアク！」あたしはみきちゃんと顔を見あわせた。しかも、たんにんは“オニクマ”というあだ名の学校中でいちばんこわいといわれている先生だ。「熊田けい子先生。わあ、サイアク」みきちゃんはそういって、あっはっはとわらった。
　かえりの時間、まどぎわのれつのいちばんまえの席の女の子が、にこっとわらいかけてきた。（あ、よしかわ……すずちゃん）同じクラスだったけど、あまり話したことがなかった子だ。ランドセルににもつを入れていたら、すずちゃんが、いっしょにかえらない？ とさそってくれた。でも、みきちゃんがまっているかもしれない。みきちゃんはおこりんぼうだから、長くまたせたらたいへんだ。「ごめん、やくそくしてるから」あたしはとっさにこたえて、すずちゃんをおいて教室をとびだした。
　みきちゃんのいる二組から、かえりのあいさつの声がすると、子どもたちがわっととびだしてきた。でも、まっさきにでてくると思ったみきちゃんがちっともこない。ほとんどの子がいなくなったあと、ようやくみきちゃんの赤いふくが見えた。「み……」大きな声でよぼうとして、はっとした。みきちゃんといっしょに、水色のベストをきた色の白い女の子が、楽しそうにわらいあいながらやってきたからだ。