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2年生の今月の本


森ねこのふしぎなたね タイトル 森ねこのふしぎなたね
著者 間瀬 みか(作)植田 真(絵)
出版社 ポプラ社
 

「いらっにゃいませえ、いらっにゃいませえ。」かわいらしい声がきこえて、タツキはたちどまった。小学校からのかえりみち、大きなイチョウの木のところに、わかばのようなみどりいろをした子ねこがいる。ズボンをはいて、エプロンまでしている。子ねこはタツキに気がつくと、すぐそばまでよってきて、じぶんのあたまより大きなガラスびんをさしだした。「おきゃくさま、すてきなたねはいかがですか。」すきとおったびんの中には、いろいろなかたちのガラスのかけらみたいなものがたっぷりはいっている。子ねこは声をひそめていった。「これ、森のたねです。まくと、ちっちゃい森がはえてきます。すてきでしょ。」(へんなねこ。森がはえてくるたねなんて聞いたこともないよ。)タツキはすこしかんがえてから、ふと、(そうか。子ねこがお店やさんごっこをしてるのか。なんかへんだけど、まあいいや。あそんであげよう。)そう思いなおして、お金がわりのドングリをさしだした。「じゃあ、森のたね、ください。」「にゃあ、ありがとうごにゃいます!」子ねこはドングリをうれしそうにうけとると、さっそく森のたねのはいった小さいびんをタツキにそっとわたした。そしてまわりを手ばやくかたづけると、ぺこりとおじぎをしていってしまった。
いえにかえったタツキは、じぶんのへやで森のたねのびんをよくながめてみた。(まさか、ほんとうに森がはえてきたりしないよな。でも、もしかして……。)へやを見まわしてみると、つくえの上にえんぴつが一本ころがっているのが、目にはいった。

●“これ、森のたねです。まくと、ちっちゃい森がはえてきます。”その言葉どおり、森のたねをのせると、いろんなものから小さな森がはえてきました。ものさしから竹やぶが、けん玉からはサクラの森が、つまようじからはシラカバが……。その小さな空間は、さわやかな風が流れていたり、やさしくあたたかくうたっているようであったりと、タツキはすっかり森のたねに夢中になるのでした。こんなたねがあったら、私たちも蒔いてみたくなりますね。

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