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2年生の今月の本


ずっとまっていると タイトル ずっとまっていると
著者 大久保 雨咲(作) 高橋 和枝(絵)
出版社 そうえん社
 

「あー。ミナちゃんは、いつもおそいなあ」あかねは小さな声で言いました。おじぞうさんのところで、三時半にあおうねって言ったのに。ミナちゃんはまだ来ません。「ミナちゃん、まだーっ?」あかねは、さっきよりも大きな声で言って、地面をダンダン!とふみつけました。
「ぐわっ! あぶない!」あかねは声におどろいて、足もとを見ました。カエルが一ぴき、ギョロリとあかねをにらんでいます。「ごめんなさい。気がつかなくて」ミナちゃんは来ないし、カエルをふみつけそうになるし、あかねはきゅうに気持ちがしゅるしゅるとしぼんでいくような気がしました。
「あなた、だれかをまっているんでしょう?」あかねが大きなためいきをついていると、カエルが話しかけてきました。「なにかをまっている人というのは、すぐにわかります。わたしもずっとここでまっているので」「じゃあ、わたしたち、いっしょね。時間にルーズなともだちをもつとたいへんよね」あかねは、カエルも自分とおなじでまちぼうけなのだと思いました。けれども、カエルはおどろいたようすです。「おやおや。まつのはきらいですか? なかなかいいものですよ。こうしてずっとまっていると……」

●何かを「待つ」とき、みなさんはどんな気もちになりますか? この作品の筆者は、ある雑誌で「大人も子どもも忙(いそが)しい毎日に、「待ち時間」なんて一見(いっけん)無駄(むだ)なようにも思えます。でも、まだやって来ない誰(だれ)かさんに想(おも)いを馳(は)せて待つこと。これって実は、すごく贅沢(ぜいたく)で豊(ゆた)かな時間なのかもしれません」と語っています。こんなふうにちょっぴり見方を変えてみると、待っている時間もやさしい気持ちでいられるかもしれませんね。

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