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2年生の今月の本


ありがとうの道 タイトル ありがとうの道
著者 小原 麻由美(作) 黒井 健(絵)
出版社 PHP研究所
 

ひだまりの森には、春と秋、一年に二度、花をさかせるふしぎなさくらの木がありました。そして、その木のまわりは、動物たちの、おひさまのように明るい声や、楽しそうな声であふれていました。
落ち葉がまいちるころ、ヤマネのきょうだいは、さむい冬をこすために、さくらの木の小さなあなに、クサゴケやかれ葉をもちこみました。「わーい、あったかいねどこが作れたよ」ヤマネのきょうだいは、やわらかいさくらの木のねどこで、体をよせあって、ぐっすりねむりました。
ある日、二ひきは、ゆめのなかでよびかけられているような気がして目をさましました。(今夜は、あなから出てはだめよ)さくらの木から聞こえたようでしたが、二ひきは、まだ、とってもねむかったので、そのまま目をとじてねむってしまいました。
「つめたいよ……」冬みん中の弟ヤマネは、目をつむったまま、声をふるわせました。さくらの木のあなのなかが、水びたしになって、きょうだいは手がびっしょりぬれていました。あなから外を見ると、真っ黒な雲から、大つぶの雨がひっきりなしに、落ちていました。おねえちゃんヤマネが、雨にうたれながら、あなから顔を出しました。「どうしよう……」秋に、かけっこやかくれんぼをしてあそんだ丘(おか)が、どこにも見えません。川の水があふれて、丘も木も草も、ドロ水でかくれてしまったのです。

●まわりがドロ水であふれ、さくらの木は根っこから引き抜かれ、ヤマネの姉弟をのせて流されていきます。さくらのいかだには、オオカミやリス、アライグマたち森の動物たちが次々と集まりました。雨がおさまった後、大好きだったひだまりの森は一変し、さくらの木も息絶えてしまったことがわかりますが、物知りのキツツキのおじいさんが、さくらは切った枝を地面に植えれば新しい木を増やすことができると教えてくれます。各地で起こる自然災害に心を痛めることが多い昨今ですが、結末には先への希望があり心があたたかくなります。

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