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2年生の今月の本


クリスマスがちかづくと タイトル クリスマスがちかづくと
著者 斉藤 倫(作) くりはら たかし(絵)
出版社 福音館書店
 

「クリスマスなんて、だいきらい」セロが、ものごころついたときから、ずっとそうでした。クリスマスの日はいつも、おとうさんはるすで、おかあさんはデパートのおしごと。セロは、さみしくて、さみしくて、だれもいないいえで、世界にひとりだけ、とりのこされたようでした。
あきも深まってきたころのことです。「学校で、ともだちが、いってたんだ」セロは、おかあさんに、おもいきって、ききました。「クリスマスって、かぞくがあつまって、にぎやかで、たのしい日なんだって。ほんとかな」「みんなは、みんな。うちは、うちよ」背をむけたままのおかあさんに、それでもセロはくいさがります。「でも、おとうさんは?」いままで、なんども、はぐらかされた質問をぶつけます。「どうして、ふゆになると、家にかえってこなくなるの?」おかあさんは、ひとつ、ため息をつくと、セロのほうにむきなおりました。「ないしょのやくそくまもれる?」「まもれるよ。十さいにも、なるんだ」セロはつよくいいました。何年もこどくなクリスマスを送ってきたのです。理由くらい知っていたっていいはずだ、と、おもいました。
おかあさんは、エプロンのすそをぴんとひっぱると、天井を見あげて、ひとつしんこきゅうをしました。
「おとうさんは、サンタクロースなの」

●何年もひとりぼっちのクリスマスを過ごしてきたセロ。世界中の子どもたちが幸せなのに、自分だけがつらくさみしい思いをしている、その思いにはおとうさんおかあさんが忙しく働いておられる家庭のお子さんは、共感できるかもしれませんね。しかし、明るくきれいなかざりつけや賑やかな雰囲気だけがクリスマスなのでしょうか。セロは、ある女の子との出会いと一言をきっかけにサンタクロースやクリスマスへの見方が変わります。

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