「あー、こまったな……」学校のかえりみち。ぼくは、ランドセルの おくから、くしゃくしゃになった さんすうの二十てんのテストを ひっぱりだした。おかあさんのあたまに つのが はえているすがたが 目にうかんでくる。こんなテスト、うちに もってかえれないよ。どこかに すてられないか、あたりを きょろきょろ見まわしてみた。見ると、ピザ屋さんのわきに、しましまもようの、鉄(てつ)でできたはこがあった。はこには、ほそ長いあながあいている。「えーい！」ぼくは おもいきって、テストをあなのなかに いれてみた。すると……。なぞのはこは、カタカタゆれだして、まぶしいひかりに つつまれた。　パタパタパララ～ン　ふしぎな音がきこえたあと、ヒュンと空気がすいこまれる音がした。
ゆうがた、あそびから もどると、おかあさんがリビングで、におうだちに なっていた。「けんと、これは なに？」おかあさんは、ぼくの目のまえに テスト用紙をつきつけた。ひゃー、今日かえされた さんすうのテストじゃないか。おかげで こっぴどく おかあさんに おこられてしまった。
つぎの日の学校がえり。ぼくは なぞの はこのまえに きていた。テスト用紙は このはこに いれたのに どうして うちに とどいたんだろう。じろりと はこをにらむ。「このかたち、どこかで見たことが あるんだけど」うーん、もしかして……。そうだ！　ポストだ！　よく見ると、下のほうに小さなもじで『どこでも』ってかいてある。ぼくんちに、あのテスト用紙が とどいたってことは……。まちがいない。きっと、住所が かいてなくても、切手を はってなくてもとどく、まほうのポストなんだ！