「やだよ！」「お兄ちゃんのいじわる！」ひかるは、弟の ともに なかなか ゲームをわたしません。ともが むりやり とろうとした ひょうしに、ひかるは ゲームをおとしてしまいました。「なに するんだよ！　いいところ だったんだぞ！」バシッ！　ともの なき声を聞いたお母さんは、ひかるを おこりました。「ちょっとぐらい かしてあげなさい！　ひかるは おにいちゃんでしょ！」ひかるは ほっぺたを ぱんぱんに ふくらませて、ぷいっと よこをむきました。
つぎの日、ひかるは 公園で「どけよ」とすべり台の れつに わりこみ、すな場では「なんだ、こんなの！」といいながら、小さい子たちが いっしょうけんめい つくった すな山を けとばして、ぐちゃぐちゃに してしまいました。小さい子たちが ないているのも 気にとめないでいる ひかるを、五年生のお姉ちゃんのさくらが見つけました。はずかしくなった さくらは、あわてて、いま あったことをお母さんに話しました。「ひかるは ころんだ おともだちを たすけてあげる やさしい子だったのに、さいきん、どうして あんなに らんぼうに なってしまったのかしら……」さくらとお母さんは 顔を見合わせながら ためいきを つきました。
「なんで いつも ぼくばっかり おこられるんだよ！」へやに とじこもった ひかるが、そんなふうに思ったときです。頭の上のほうから、へんな音がきこえました。
ジャラーン！
じんじゃで おさいせんを入れたときの音に にていますが、それよりも にぶく ひくい音です。
ジャラーン　ジャラーン　ジャラーン！
夜、ふとんの中に入っていたときも、ひかるの頭の上から、あのへんな音はきこえてきました。