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2年生の今月の本


ひとつのねがい タイトル ひとつのねがい
著者 はまだ ひろすけ(作)しまだ・しほ(絵) 
出版社 理論社
 

ある町はずれに、一本のがい灯(とう)が立っていました。そこは、あまり、人どおりのない、小路(こうじ)のかどでありました。がい灯は、足を地べたに しっかりと つけているように みえましたが、それは じっさいとは、たいへん ちがっていました。「もう、おれの一本足も、よぼよぼである。夜にも、さっと風があれだしたら、もう なにもかも、おしまいなんだ」年をとって たおれることは、二本足の人間だって同じこと、そう思うのが男らしい あきらめなのだと、がい灯は かんがえていました。それなのに、かんたんに、あきらめようと すればするほど、つよくなる ひとつのねがいが ありました。そのような ねがいが、ひとつ あるばっかりに、がい灯は、すこし つよい風がふいても、ぐらつく こしを ぐっと ささえて力(りき)んでいました。「まもなく、おれは、たおれてしまう。それは、どうにも しかたがない。しかたがないが、さて、おれは、どうだろうかな。まだ、みえないかな、星のように」
星のように――
がい灯の、たった ひとつのねがい というのは、一生に、たった一度だけでいい、星のような あかりくらいに なってみたい、ということなので ありました。そのような ねがいをだいて、がい灯は、ひとつところに、なん年も立ってきたのでありました。

●町はずれにある一本のがい灯は、星のようなあかりになりたいという、ただ一つの願いを抱いて、立ち続けていました。夏が過ぎ、秋が暮れ、がい灯は飛んでくるこがねむしや ガ に、自分の光がどう見えるか問いかけます。けれども、返ってくるのは、むなしいこたえばかり。このまま、ただだまって光ったまま、老いたがい灯の一生は終わってしまうのでしょうか…?

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