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2年生の今月の本


あらいぐまのせんたくもの タイトル あらいぐまのせんたくもの
著者 大久保 雨咲(作) 相野谷 由起(絵)
出版社 童心社
 

そとは、あきの夕ぐれどき。おばあさんが、小さなコインランドリーのかんばんを、じっと みています。「すみませーん。だれかぁ」おばあさんは、大きなこえで いうと、くすくすと わらいました。じつは、いえの せんたくきが こわれてしまったので、おばあさんは、きょう、うまれて はじめてコインランドリーを つかうのです。「だれもいないのは、わかってる。よんでみただけ。いってみただけ」
 そういって、おばあさんが、やれやれと、うでまくりを したとき……。「だれも、いないこと ないよぉ」テーブルの下から、こえが きこえたのです。おばあさんは、とびあがるくらい、びっくりしました。(だれ? だれかいるの?)どきどきしながら、ゆっくり、ゆっくりと かがんで、テーブルの下を のぞくと……。「えっ」そこにいたのは、なんと、一ぴきの 子どもの あらいぐまでした。あらいぐまは、おばあさんと目があうと、のそのそと 出てきて、ひゅっと 二本足で たつと、「おねがいが あるの」と、いいました。みずいろのような、うすみどりいろのような ぬのきれを りょう手に はさんで、「ぼくのハンカチも、いっしょに あらってほしいの」と、あらいぐまは いうのです。おばあさんは、すっかり おどろいてしまいました。「ぼくは、かなしいことが あると、このハンカチで なみだを ふいていたの。そうしたらね、『かなシミ』という シミが とれなくなったんだ……」

●あらいぐまは、ハンカチにしみついた『かなシミ』を見るたびに、その出来事を思い出してなみだが止まらなくなるといいます。人間のマシン(せんたくき)で洗えば、『かなシミ』はきれいになるのでしょうか。せんたくものを待っている間、「おばあさん、あのね……」とあらいぐまはどんな悲しいことがあったのか、小さな声で話しはじめました。

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