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2年生の今月の本


トゲトゲトカゲをつかまえろ! タイトル トゲトゲトカゲをつかまえろ!
著者 赤羽 じゅんこ(作) 筒井 海砂(絵)
出版社 国土社
 

 公園のベンチにすわると、ぼくは、ふうっと息をはいた。となりの席の陽(ひ)菜(な)のようすがさいきんいつもとちがう。今日は『メガネザル』といっただけで大泣きして、そのせいでぼくがおこられた。陽菜はそのくらいで泣くような子じゃないのに。ゆううつな気もちでいたそのとき、声をかけられた。「よう、ぼうず、うかない顔をしてるな」ぼくのすわってるベンチのよこに、しらないおじさんが立っている。真っ黒なきものにわらじ、昔の人みたい。知らない人と話してはいけないと、学校でよくいわれている。ぼくがこたえないでいると、そのジジは、前をむいてかってに話しだした。
 「わしのかっているトゲトゲトカゲがにげだしたんじゃ。それでこまっておる。どうも、小学校ににげこんでしまったらしい。わしは小学校には入れない。だれか、つかまえてくれる人をさがしておる。ぼうず、やってくれないか?」なんか、悪い人ではないようだ。うちのネコのクッキーがにげたときはおなかがすいたら、かえってきたけど、ジジがいうには、小学校にはトゲトゲトカゲのこうぶつがいっぱいある。だからこまっているというのだ。「こうぶつってなに? そいつはなにをたべるの?」「子どもの元気じゃ。子どもにぺたっとはりついて、元気をすいこむんじゃ。じゃがな、はりつかれた子どもはイライラしたり、メソメソしたり、いつもとちがうたいどをとるようになってしまう。ぼうずはトゲトゲトカゲのにおいがする。ぼうずの近くに、いつもとちがうようすの子はいないか? とつぜん、おこったり、泣きだしたり」そういわれて、ぼくは「あーっ」となった。陽菜だ。もし、陽菜にそのトゲトゲトカゲってやつがとりついているとしたら、かわいそうだ。

●目に見えない『幻(げん)獣(じゅう)』トゲトゲトカゲ。なりゆきでつかまえるのを引き受けてしまった翌日、虎(こ)太郎(たろう)は、たしかに教室でトゲトゲトカゲを見つけました。けれども、そのすばしこいこと。トゲトゲトカゲの好物は“子どもの元気”。自分がみんなの前で元気いっぱいの姿を見せれば、トゲトゲトカゲがよってきて、つかまえられるかもしれない! でも、それは恥ずかしがり屋の虎太郎には、とっても勇気のいることでした。

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