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2年生の今月の本


おたまじゃくしのたまちゃん タイトル おたまじゃくしのたまちゃん
著者 深山 さくら(作) 山本 裕司(絵)
出版社 佼成出版社
 

 そよそよ原っぱに、まるくて小さな池が ありました。おたまじゃくしの たまちゃんの ところに、友だちの、まるちゃんが あそびに やってきました。「あれっ、まるちゃん!」たまちゃんは、まるちゃんを見てびっくり。まるちゃんには、かわいい後ろ足が生えていました。おととい、さよならしたときには、なかったのに。「すごい! ぼくにも生えるといいなあ。こんどは、ぼくの番だよね」「うん、そうだよ。こんどは、たまちゃんの番なのだ。くろくんにも、ももちゃんにも生えてるのだ。あれれ?」たまちゃんは、ちょんと首をかしげました。「たまちゃんってば、ちょっと太った?」つい この前までは、おんなじ くらいだったのに、顔もでっかく、しっぽもながーく、たまちゃんは、まるちゃんより、ずいぶん大きくなっていたのです。ニひきは、「ふうん」「ふしぎだねえ」と、顔を見あわせました。
 水草横丁につくと、水草ジャングルジムのむこうから、くろくんが顔を出しました。くろくんには ちっちゃな二つの前足。みんなは びっくりしました。「すごいわ!」「いいなあ!」「大人なのだ!」くろくんは とても とくいそうです。「おいら、もう子どもじゃないから、みんなとは あそべねえ。大人だもん。それにしても、たまちゃんはさ、まだ しっぽのまんま じゃねえかよ。だいじょうぶか?」くろくんは、たまちゃんの しっぽの あたりを、じろじろ見ながら言いました。「だいじょうぶって?」「おかしいんじゃ ねえかと思ってよ。だって、たまちゃん だけだぞ。足、生えてねえの」「そんなあ……。ぼく……」たまちゃんは、むねが どきどきしました。(ぼくって、どこか わるいのかなあ)

●おたまじゃくしの友だちに、小さなかわいらしい足が生えてきました。自分の体の成長にみんなびっくりわくわく。そんな中、たまちゃんだけは、いつまでたってもしっぽのままのおたまじゃくしでした。やがて、友だちがかえるになって、池の外へ行ってしまっても、季節がどんどん過ぎていっても、それは変わりませんでした。体はとっても大きいのに、どうしてなのでしょう? まわりと自分のペースがちがうとき、焦ったり不安になったりすることはありませんか。でも、そんなことは全然気にしなくてよいのだと安心させてくれるお話です。

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