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2年生の今月の本


きみのなまえ タイトル きみのなまえ
著者 あんず ゆき(作)かなざわ まゆこ(絵)
出版社 佼成出版社
 

 学校からの帰り道。たくとは、みんなの後ろをゆっくりと歩いていました。「あっ、またあいつがいる!」とつぜん、だれかの高い声がひびきました。たくとが林のほうに目をやると、おくの草むらに、大きな茶色い犬がしっぽをたらし、のたりのたりと、うろついているのが見えました。「あの犬、きたないね」「ぜったい、くさい」みんなの声に気がついたのか、犬は、こそこそと林の中にきえました。にげていく犬のことを、みんなはわらっていましたが、たくとは、わらったら、あの犬にわるいような気がして、犬の後ろすがたを、ただ、じっと見つめていました。
 家に帰ってすぐ、たくとは、お母さんに聞いてみました。「林にいる茶色い犬のこと、知ってる?」「ええ、知ってるわ。今日、見たの? 元気そうだった?」お母さんは犬がだいすきです。だから、あの犬のことも、気になるのでしょう。びくびくしていたようすを話すと、「そうかあ。前は、ほかの犬といっしょだったけど、一人ぼっちになって、こわいのかも」そう言いながら、ココアをいれてくれました。ほかの犬は、保健所の人につかまえられたのだといいます。たくとは、「つかまえた」ということばが引っかかって、「つかまえられたら、どうなるの? ホケンジョってなにするところ? あの犬も、いつか、つかまえられるの?」そう聞かずには、いられませんでした。お母さんは、そのしつもんには答えずに、「あのさあ」と言って、たくとの顔をのぞきこみました。「そうなる前に、うちでかってあげようか」

●林にいる茶色い犬を家につれて帰ろう、そう決めて、お母さんとたくとは、まずは掲示板に貼り紙をすることから始めてみました。昨今、保護犬や保護猫への関心が高まっていますが、人に慣れていない犬や猫は、人を警戒しこわがります。すぐになかよしになるのは、難しいのですね。そんな犬や猫たちには、愛情深く接し続けることが大切で、それが少しずつ心を開いてくれることにつながるようです。お話の茶色い犬はどうなるでしょうか。最後には、心があたたかくなる結末がまっています。

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