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2年生の今月の本


雨の日は、いっしょに タイトル 雨の日は、いっしょに
著者 大久保 雨咲(作) 殿内 真帆(絵)
出版社 佼成出版社
 

 ぼくは、ハルくんの黄色いかさ。今日は雨ふりだから、ぼくはうれしい。だって、かさって、雨の日しか、外に出られないからね。
 ほら。そろそろ、学校がおわる時間。雨の日のかさ立ては、大こんざつ。もちぬしをまつかさで、いっぱいなんだよ。(あぁー。きゅうくつだ。ハルくん、早くもどってこないかなあ)ぼくがなげくと、(ハハハ。きみのもちぬしは、一年生のハルくんだね?)ぼくのそばにいた、みどり色のおりたたみがさが、言った。ぼくは、どきどきしていた。じつは、ずっと、おりたたみがさに、あこがれていたんだ。(ねえ、ちょっとだけ、聞いてもいい? あのさ、おりたたまれるって、どんな気持ち?)(え……?)(おりたたみがさって、かっこいいよね。小さくなったり、大きくなったり。すごいなあ)みどり色のおりたたみがさは、ぽっと赤くなって、ちょっと茶色みたいな、へんな色になった。(え、えっと。じつは、おりたたまれるのは、少しきゅうくつなんだ)(へぇ、そうなのか)(でも、かさをひらいてもらうときは、ぜんぶのホネがバキバキッ! ってのびて、最高の気持ちなんだよ)ぼくはうらやましくて、ぶるぶるふるえた。だって、ぼくには、一生わからない気持ちなんだもの。ますます、おりたたみがさに、あこがれちゃった。

●おりたたみがさに、ビニールがさ……ハルくんの黄色いかさは、まわりのいろんなかさをあこがれの気持ちで見ていました。そして、ある雨の日のことです。ほかのかさにはなれないけれど、ちがう人のかさになら、なれるんじゃないかな。ちがう人のかさになって、いつもとちがう景色を見られるかもしれないぞ。そう思い立ち、ハルくんの手をはなれて、風にのって、ちょっとだけ旅に出たのです。黄色いかさが旅の出会いで気づいたこととは……?

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